唯我独尊 その4
背中に『天上天下唯我独尊』と刺繍されたクイーンの白の特攻服にダメ出しし、着替えのため帰宅させる。正直、別の意味でものすごく似合ってはいた。その姿を見ればどんなワルも一瞬で詫びを入れてしまうであろう。だがこんな姿でホテルに入ったら、従業員は間違いなくホテルへの襲撃と勘違いし栃木県警に通報するだろう、なんなら機動隊に出動要請するかも知れない。
そんな訳で出発は三十分ほど遅れそうだ。スタートからコレだ。この先が思いやられる。会社への報告書は一体どんなものになってしまうのか… まあこの件は一切書かないけどね。それよりも、泉さんにホテル側からとんでもない苦情が押し寄せそうで、胃が痛くなる。
クイーン以外のあまりに場違いな服装の三名には、後ほど栃木のご当地Tシャツでも買わせることにする。してやったりの表情のコイツら、わざとやっているのだろうか。示し合わせて来たとしか思えない。
クソ、甘かった。舐めていた。いい大人が中学生の頃のヤンチャな服着てくるなんて…
ナイスミドル諸氏、すなわちバスケ部や生徒会その他の皆に、不手際を詫びる。
「いや全然。俺もあいつら見た時、タイムスリップしたかと思ったよ」
「だよねー、あの人たち全然変わってない、むしろ羨ましい…」
「すごく楽しみになってきたよ、この旅行。普通じゃ絶対味わえない旅になりそうじゃん?」
流石、大人な反応だ、俺は頭に昇った血が一気に下降したのを感じる。彼ら彼女らのためにも、奴らの手綱はきっちりと締めねばならぬ、そう決意した頃に着替えを終えたクイーンがだるそうに歩いてやってくる。




