全国制覇 その3
我ながらソコソコな出来の『修学旅行のしおり』が完成する、会社で。それを三十部ほどコピーする、会社で。何人かの若手男性社員が手伝おうとしてくれたのだが、一応プライベート旅行の事なので謹んでお断りする。当然女子社員は無視を決め込んでいる。
なんていい奴らなんだろう、と心の中で喜びながらコピー機をいじっていると、
「専務。私がやります。でないと他の業務の妨げになりますので」
と新入社員の女子にハッキリと言われてしまう。新人とは言え、女性社員と初めてコンタクトした瞬間であった。俺はビックリして彼女をガン見してしまう。
「ちょ… 庄司! オマエ専務になんて失礼なことを…」
山本くんが慌てて俺たちの間に入るも、
「は? 本当のことを申しただけですが何か? それに本当に私達困っているのですが、コピー機使えなくて。私間違っていますか? 山本さん」
俺と山本くんは項垂れてしまう。彼女に『修学旅行のしおり』を渡す。彼女はサッとそれに目を通すと、
「専務。数箇所ほど訂正すべき点がございますが、このままでコピーされますか?」
「え? どこどこ?」
「日時に曜日を入れるべきかと。あと費用ではなく代金かと。漢数字でなく9800円とすべきかと、それからー」
「あの、庄司さん、もし良かったら全て訂正してくれない? 俺のパソコン使って…」
庄司さんは仕方ないですね、と呟きながら俺の机に座るとものの五分ほどで
「専務。ご確認ください。それと全部で30部で宜しかったでしょうか?」
モニターを眺め、訂正箇所に納得し、カクカク頷くと、
「今後。こういった事務的なことは全て私にいいつけてください。わかりましたか?」
「よ、よろしく頼むよ」
そう言うと彼女は満足げにデータをコピー機に出力する。あ、なるほど、こうすればわざわざコピー機弄らなくても…




