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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第10章
331/590

夜咲狂暴 その3


 俺を見た瞬間180度ターンした山本くんの肩を掴み、台湾の『アンバサダーグループ』について教えて欲しいと言った瞬間、クイーンショック前の彼に戻ってくれた。良かった。


「さすが、泉さんですね。アンバサダーグループが鬼怒川温泉に目を付けていたとは… これ、ウチの業界でもノーマークだったと思いますよ」


「そうなのか。俺は鬼怒川温泉自体、よく知らないんだよな…」


「ちょうど金光さん世代までの東京近郊の定番温泉街ですね。団体客メインでした。『東京の奥座敷』なんて言われて、熱海、箱根に匹敵する人気だったんですよ」



 鬼怒川温泉。正直名前は知っているが、行ったことある人間も知らない。


「そうなのか。でも何で今、ネットで荒廃だとか廃墟だとか…」


「バブル崩壊後の融資ストップとか? その辺りは金光さんの方が詳しいかと…」



 ああーー。思い出した思い出した! なるほど、そう言うこと。知ってるも何も、俺の同期が深く足を踏み入れて、泣く泣くどっかに飛ばされた案件だったわ。


「成る程な。バブル前の過剰融資。足利銀行の経営破綻。それによる不良債権化。それに加えて福島原発の風評被害。惨憺たる有り様だな…」


「『温泉の 泡が弾けて 夢の跡』って感じですかねー」


「間宮先生に添削してもらうか?」


「え! お会いできるんですか! うわあ、光栄です」


 俺はニヤリと笑い、


「あの店で…」


「ひーーーーーーーーーーー」



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