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夢幻泡影 その3
「そう言えば社長も旅行、温泉、好きなんでしたっけ?」
鳥羽社長は満面の笑みを湛えながら、
「旅行は大好きです。私は登山が大好きなのです。山が大好きなのです! 温泉は、まあ有れば入ってみようかなって感じですかね」
ああ、そう言えば風の噂で何となくそんな話を聞いたな、なんて思いながら、
「じゃあ、好きな事を仕事にしたんですね?」
「はい。登山仲間やバックパッカー仲間で立ち上げたんですよ、この会社を」
全く。この会社がサークル、部活の延長線上なのは今も変わりがない。
「そう言えば山本くんも?」
「はい。と言うか、社員の殆どがそうじゃないかな。専務と営業の三ツ矢部長くらいですよ、とくに旅行好きでない社員は」
それってほぼ全員が、と言うことだよな、と思いつつ、
「何故、僕を? 銀行に無理やり押し付けられたから?」
鳥羽はとんでもございません、とばかりに首を大きく振りながら、
「何人か候補を頂くんですよ。その中から、その方の経歴と趣味を見て、決めました」




