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夢幻泡影 その1
「かっ か かね かねみ かねみてゅ かねみてゅ専務―」
目は虚で、とても正常な人間とは思えぬ表情だ。
「…… どうした、山本くん?」
「ひっ 御免なさい御免なさいー うわーーーーーーーーーーーーーーーーー」
全社員がこちらをガン見している。女子社員が俺を睨みながらコソコソ話している。社長室から若き社長が顔を覗かせている。まさか、ここまでクイーン効果が彼の心を蝕むとは…
あの夜の翌日、彼は無断欠勤した。
土日を挟み今日は月曜日、彼は出社した。げっそりと痩せ細り、目の下に黒い隈を作り、服はシワくちゃ。髪はボサボサ。しかもちょっと臭う。このまま心療内科に連れて行くべきだろうか悩んでいると、
「こ、こ、こ、コレで勘弁してくださいっ お願いしゃすっ こ、こ、こ、これ以上無理っす 頼みますっ ひいーーーーーー」
数枚の企画書を俺に放り投げ、彼は出て行った。俺はそれを拾い上げ、サッと目を通す。いつもとは比較にならない乱雑さである。だが、要点はまとまっており、俺は何度もなるほどと頷いてしまう。
後で彼をとっ捕まえて、鰻でも食わせてやらねばなるまい。




