喧嘩上等 その11
「そうだよ。山本クン。このオンナはね、昔から怖い人なんだよ」
「はい… ゴクリ」
「そのコイツがさ。行きたいんだって、修学旅行」
「はい…」
「来月のお盆前、日光に」
「はい……」
「な、クイーン?」
「まーな」
「ヒッ」
「俺さ、コイツに約束しちゃったんだよ。なるたけ高級で、送迎付き、二食付きで、」
「きゅ、9800円、ですか……」
「そ。コイツにも、コイツの怖いダチにも約束しちゃたんだ…」
「だ、だけど、それは金光さんが…」
クイーンが山本クンの顔にiQOSの煙を吹きかけながら、
「わりーな、コイツ使えねーだろ。だから、頼むわ若い衆! ヨッ!」
「ひいいーー わかりましたーー 何とかしますぅーー」
「それでこそ、キミだ。山本くん。もうキミが俺をバカって連呼したコト忘れるよ」
クイーンの綺麗な眉毛がありえない曲がり方をし、
「は? オメ、調子こいて人のオトコ、バカにしたんかコラ?」
山本くんはスツールから飛び降り、その場に土下座をしながら
「すいませんすいません知りませんでした申し訳ありません二度としません許してください命だけはお願いします助けてくだ」
そんな彼を無視し、忍が目をキラキラ光らせながら、
「あれーーーーーーいまーーーーー」
「ちょ、忍オメ、ちょ」
「キンちゃんのことぉー 『人のオトコ』って言ったあーー」
「ば、バーカ、例えだろが例え、あれ? あ、やべ、で、電話しなきゃ翔にヤバヤバ」
「姐さん逃げたーー キャハハ、逃げた逃げたーーー」
忍が大喜びし俺が真っ赤になっているその足元で、
「すいません助けてくださいもうしません絶対しません調子乗ってました許してください死にたくないですお願いしm……」




