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狂喜乱舞 その10
俺は本当に済まなさそうな表情で、声のトーンを落とし、
「済まなかったな。いや、先月、先々月とあれだけの仕事をしたキミだから、こんな事くらいお茶の子さいさいだと思ってしまったんだ… 本当に申し訳ない」
例の、全く反省していないが相手が見たら深い謝罪の意にしか見えない四十五度の傾斜角を誇るお辞儀をかます。
「え… いやあ、そんなことないです、あはは」
更に、彼の両肩をがっしりと鷲掴みし、何度か強く揺さぶりながら、
「あんな凄い高級旅館と交渉してさ、いとも簡単に仕事持って来て… そしてあんな立派な企画書。うん、銀行にもいなかったよ、キミみたいなタフネゴシエーターは!」
チラリと山本くんを眺めると、喜色満面だ。よしよし、引っかかったみたいだな。
「あはは、そんなー かっけー」
ここまで有頂天になれば、あとは楽勝だ。
「今夜さ、空いているかい? お詫びとこれまでのお礼にさ、一杯ご馳走したいと思って」
ガッツポーズを決めながら彼は叫んだ。
「やった! 喜んで! ウエーイ」
狂喜乱舞の山本くんを薄目で流しながら、俺はすぐにスマホを取り出し、予約の取れない人気店の今夜のテーブル席を予約したのだった。




