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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第1章
29/550

救い その9


「持ってきたぞ、A E Dだ」


 少年は鋭い笑顔で俺に礼を言う。額にうっすらと汗が滲んでいる。そして、


「あなた、AEDを使ったことは?」


「いや、無い」


 俺が済まなそうに言うも、少年は何度も頷きながら、


「では僕がやりますので、僕の代わりに心臓マッサージを続けてください」


 俺は無意識のうちに頷き、彼に代わり老人に跨る。そして彼がやっていた様に、老人の骨の浮きでた胸を押し始めた。初めは恐る恐る押していると、


「もう少し強く! 胸骨が凹むくらいに!」


 ハイ、と返事をしながら、俺はその通りに手のひらを強く押し込んでいく。


「そうです、カウントしながら、そうそう、中々上手ですよ!」


 そう言いながら彼はAEDのカバーを外し、素早く粘着シートみたいなシールみたいなのを老人の胸に貼っていく。その素早さに、彼が高校生である事を忘れ、救命士であると錯覚してしまう。


 スイッチを入れると器械の声で只今診断中だからマッサージは続けてくれ、との事。しまった、何回目かわからなくなった、その時。


「皆さん! 離れて! 少し離れて! 貴方ももういいです、離れて!」


 俺の腕が掴まれ、老人から引き離される。


 周りの野次馬たちの少年の言う事をよく聞く事! まるでフラッシュモブのように一斉に二歩下がり、固まる。達磨さんかよ、と思う間も無く器械が作動する。



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