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終生不変 その1
クイーンの温かさは俺に勇気をくれる。先生の熱さは俺に力をくれる。俺は一人カウンターに座り、キンキンのビールを喉に流し込む。店はまた笑い声が溢れ出し、一人また一人懐かしい教え子が店にやって来ては、先生に熱く歓迎されている。
隣にクイーンが座る。今夜は忍に全部任せるつもりらしい。店は貸切りにしているようだ。
「たまんねえな…」
泣き腫らした、然し乍ら初めて見る、優しい目で俺に言う。
「ああ。たまんねえ…」
妻の里子が急逝してからこの三年間で、これ程心打ち震えた事は無かった、いや今までの人生でもこんな事はあったのだろうか。高校生の時以来だろうか。
里子が死んだ時も俺は涙一つ溢さなかった。梅雨入り前にクイーン、葵、クイーンの孫であり葵の彼氏の翔と四人で箱根に行った帰りに、目が曇ったのが何年何十年ぶりの涙だった。
そして今。本当に何十年ぶりに心穏やかな心境にいる。多分隣の彼女も同じだろう。共に滂沱の涙を流し、それぞれに抱えた苦労、苦悩、穢れ、煩悩が洗い流された。
「すげえな。やっぱ」
「ああ。俺らにはもったいない恩師だ」




