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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第9章
278/705

夜露死苦 その10


「おいっ 軍司」


「は、はいっ」


 先生はクイーンは片手で抱きながら俺に向き直る。言い訳、言い逃れを決して許さない強い瞳が俺を捉える。


「お前も、良く頑張ったな」


 穏やかな優しい目。かつてのような熱く燃えたぎった瞳ではなく、傷ついた者をどこまでも暖かく包んでくれる、穏やかで柔らかい瞳。


「いや、先生… 俺はー」


 違うよ、違うんだ先生。俺は、俺は自分のことばかりを…


「知ってる。聞いてる。お前の事も」


「だから、俺はー」


 先生は優しい笑顔で首を振りながら、


「いーんだよ。今こうして生きて元気で、先生の前に居てくれる。そんだけでいいんだ」


 全身の力がスッと抜ける。同時に心に温かいものが込み上げてくる。


「せ、先生……」


「お前みたいにプライド高い奴があんな事になって。先生はお前が死んじまわねえか、それだけが心配だったんだ、娘とババア残してな。でもお前は耐えた。過去を悔やみながらそれでも生きた。人はよお、天辺からドン底に落ちた時にこそ本当の強さが問われんだよ。お前は昔から強かった。だから先生は信じてた。お前の強さを。そんで必ず這い上がってくるって」


 脳天を殴られた気がして、思わず床にヘタリ込む。


 床にボタボタ、大粒の涙が零れ落ちる。


 俺の両肩に熱い力を感じる。



「お前は今でも最高だよ。キング」


 しゃくり上げる息が切なく苦しい。先生が耳元でそっと囁く


「お前は、俺の、最高の教え子だ!」



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