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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第9章
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夜露死苦 その7


 恩師との再会は意外に早く訪れる。コイツら地元密着人間なので、実に『話が早い』。先日の話から数日後の、金曜日の夜には先生を『居酒屋 しまだ』に連れて来ることになった、と健太から連絡が入る。


 そのせっかち振りは下町気質なのだが、それにしても早い。こちらはまだ心の準備ができていないと言うのに…



 あっという間にその金曜日は訪れる。心の準備はやはり間に合わなかった。楽しみよりも怖さの方がやはり大きい。


 定時に仕事を終え、急ぎ足で店に向かう。何年ぶりだろう。約三十年ぶりになるのか。俺は先生に胸を張れる人生を過ごして来ただろうか。否。なまじあの頃は出来が良く優等生だった俺のこの凋落ぶりに、先生をガッカリさせてしまうのがとても残念だ。


「おう軍司。お前はその能力を必ず世の中の為に使え。神様はその為にお前にその能力を与えたんだからな」


 今でもよく覚えている。卒業式の後の先生の『贈ってくれた言葉』だ。


 俺は先生の期待とは違う自分本位な生き方を選んでしまった。国立大学を卒業後、大手銀行で出世の虜となり、先輩、同期を叩き落とし、後輩を足蹴にし。家庭を持つも、妻子を顧みず仕事仕事、時々オンナ。支店長となりこれから更なる高みへ、という時に妻の急逝、小指訴訟問題、そして非上場の小さな会社への転籍。


 どんな顔で先生に会えば良いのだろうか。こんな俺を先生は許してくれるのだろうか。それとも昔のように真剣に叱ってくれるのだろうか…



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