夜露死苦 その6
そんな先生を思い浮かべながら現実に引き戻される。
「で、病院で会ったって…… 先生体調悪いのか?」
川村は俯き、顔を歪ませ、低い声で
「ああ。周りに迷惑かけたくねえって、ずっと我慢してきたんだってよ… もうよ、ゲッソリ痩せちまってさ」
川村は目に涙を浮かべながら鼻を啜る。俺は口の中がカラカラに渇き、ジョッキを口にする。
「なんか、いぼ痔だか切れ痔だかの手術して、奇跡的に助かったってよ」
俺はおかわりのビールを口に含んだ所であった。それを盛大に噴き出しながら、
「死に至る病気では無いな。そうか、お元気なんだ」
「汚ねえなー ったく… ああ、元気、元気。『川村―、親孝行かー、偉いぞー』なんて病院中に響き渡る大声でよお ったくこっちは五十過ぎだっつーの」
「はは、先生にとっては俺らが最初の生徒だったからな。きっといつまで経っても生徒なんじゃないか?」
「そっかあ。会いてえなあ 金八っつあん…」
いつの間にかクイーンがiQOSをふかしながら俺たちに加わっている。
「おう! 今度誰か連れてこい! タダ飯食わしてやるっ」
「おっ流石クイーン 太っ腹!」
「いや腹出てねえよ、ほれ」
エプロンとTシャツを胸までさっと上げると、六分割された腹が現れる。元不良三人の反応は皆同じ。空腹で松吉屋で牛丼食べたら、間違って松坂牛だった時の顔。見てみたかったが実際見たら別の意味で凄くてちょっと引く、そんな空気に俺は一人軽い嫉妬を感じる。




