夜露死苦 その3
「いやー、キング。成績優秀スポーツ万能、正義の漢、金光キング。いよーっ」
「ホラここ。キングに殴られた趾な。ったく真面目グループなのに喧嘩も強え強え」
俺の人生最良の日々。成績は卒業まで学年トップ。バスケ部の主将で都大会ベスト8。生徒会会長。確か中二の時、生徒会として彼ら不良グループと対立、健太とこの青山、川村ら六人と体育館の裏で乱闘となり、双方大ダメージを受け、以来何となく互いに認め合う間柄に。
健太はこの深川西中の番長格だったらしい。裏番? 本番? システム自体がよく分からない、未だに。非常に面倒見の良い男で、三年前に妻の里子が虚血性心疾患で急逝した時も、真っ先に駆けつけ通夜、葬儀を手伝ってくれた。
「そんで、俺らの出世頭って奴な。支店長さま!」
「だから、それは去年までの話。もうお前に美味しい旅行話、回すのやめた」
俺は数年前まで某大手銀行の某支店長を務めていたのだが、まあ、色々あって去年今の職場である小さな旅行代理店に転籍となり、今に至る。
「軍司―、それは無いっしょー、って。俺まだお前から何―んもいい話貰ってないし。クイーンばっかりいい思いしてよっ ケッ」
「んだコラ健太。アタシに喧嘩売ってんのか?」
この店の店主。クイーンこと島田光子が健太に気持ちよく啖呵を切る。
「まさかー クイーン機嫌直してよお、あ、ボトル入れちゃおう、な、『百年の孤独』」
「まいどありー 忍、出してやって」
「姐さんさすがっすね。商売上手っす!」




