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待宵草 その10
ゆうこは寂しげな刹那げな表情でボソッと呟く。一瞬、俺は何かとんでもない過ちを犯してしまったか、と不安感に苛まされるも、遠くの席でジョッキを片手にギャハハと笑っているクイーンを視認し、俺は間違っていない、これが正解なのだと自分を鼓舞する。
ゆうこの美魔女マジックは俺から徐々に抜けていき、ようやく自分自身の確かな感情を自覚すると、ゆうこは仕方ないですね、と呟きながら大きく息を吐き出した。
これでいい。これが最適解なのだ。俺にはこの女性はとても手の届く人ではないのだ。
俺がこれから手と手を取り合う相手は。
ビールジョッキを一気飲みしてやんやの喝采を受けている、あの女なんだ。
ゆうこはクイーンを一瞥し、そっとワイングラスを口にする。
「でも…」
上目遣いで俺の目を容易く吸い寄せる。
「あの時みたいに…」
そして濡れた唇が俺にそっと囁く
「また、盗んじゃおうかな…」




