265/425
待宵草 その7
親友のオタフクさんもツリ目さんも我が事のように喜んでいる。大学時代の友人、出版社時代の同僚も駆けつけ、この快事を心から祝福しているようだ。
俺のお袋はゆうこからサイン入りの句集を謹呈され、完全に舞い上がっている。
いつものメンバーも有名人のさらなる飛躍に己を重ね、いつか俺も、いつか私も、などと夢を膨らませては周りに針で突かれ萎ませている。
店の奥で若い男女が言い合っている、と言うか議論をしている。
ちょっと耳を傾けていると、俳句と川柳の現代社会での位置付けがどうだとか、俳句の世界的な普及の為のストラテジーは、とか、何を言っているのか相変わらず分からない。
ゆうこによると、純子ちゃんは本当に先月会社を辞め、神保町で大量に獣医学の書を買い求め、嬉々として三津浜に向かったらしい。
クイーンによると、龍二くんは人間との会話の可能性に気付き始め、来院する飼い主連中を閉口させているらしい。




