待宵草 その5
そんな訳で、晩秋の間宮由子の句会は決定事項となったのである。
企画部に戻り、山本くんにその旨を伝えると、彼もまた俳人? 句会? の類の世代なので、今日一日かけてそのあたりの事を調べておくこと、と宿題を出す。
企画部には20名弱の社員が配置されている。その半分近くが女子社員であり、彼女達の俺を見る目は相変わらずである。俺はそんな目を全く気にせず、
「秋に俳人の間宮由子先生の句会を『あおば』でやることになった。今からその準備に関しての説明をするからよく聞くように」
すると全企画部員が呆然と俺を見上げ、眉を顰めている、特に女子社員が。
「お前ら、そもそも間宮由子は知っているか?」
意外や意外。ほぼ全員が知っているではないか。ちょっとビックリした。
「それじゃ、句会って何するか知ってる奴いるか?」
数名の女子社員が知っていそうな顔をするも、ソッポ向いたり下向いたり。相変わらず嫌われてんな俺。
「よし。今日はお前ら、山本と一緒にその辺のこと勉強しておけ。俳句とは、句会とは、だ」
男子社員はカクカク首を振りながら即座に目の前のノーパソを叩き始める。女子社員は数名ごとに集まり。ヒソヒソ話をしながら顔を歪ませる。
「言っておくが、これは鳥羽社長肝煎りの企画だからな。生齧りの知識では社長はがっかりされるだろう」
そう言うと、それじゃ仕方ないわ、とばかりに女子社員達もパソコンに向かい始める。
この会社に入り、初めて俺の主導する企画がスタートした。




