257/550
朝涼 その6
東京への帰りの車中。今日も純子さんの一人舞台だ。
如何に今迄自分の出会ってきた人間が残念だったか。如何に龍二くんが自分には適しているか。如何に龍二くんは自分でなければ駄目なのか。
それにしても、よく喋る子だ。とても人見知りとは思えない、実は親にそう言っているだけで相当のコミュ力の持ち主なのでは、と疑う。
「と言うかママ。龍二さんがママのことをとても褒めていたわ。」
「へーー、何て?」
「この時代にしては中々気の利いた句を詠む女だ、そうよ」
「あら。ありがと」
「と言うか、こうも心配していたわよ。ただもう少し頑張らねば、金光うじは我が母に陥落してしまうであろう、と。乾坤一擲の大攻勢を期待す、ですって。ママ、せいぜい頑張ってね、あ、もう飽きたから結婚式はしないでくれるかしら」
「チョーシこいてんなよクソガキが…」
こら。純子さんを脅すな、と横を向いたがクイーンは大欠伸中… あれ? え? 何今の恐ろしい文言は? 俺の空耳だったのかしら、そっとゆうこをバックミラー越しに眺めると、楽しげに大井松田辺りの景色を楽しんでいる…




