月下美人 その3
食事も終わり、食後の湯も堪能した後は、部屋呑みだ。予め宿に取材を兼ねて地酒のお勧めを部屋に届けてもらっていたのだがー
「足りねえ」
「三十分持ちませんよね」
とダメ出しを喰らい、追加で彼女たちの言うがままに持って来てもらうと、テーブルの上に日本酒が五号瓶で六本… おい。俺たち三人な。三人で三升ってどんな計算なんだよ…
かつての職場時代、まだ慰安旅行なんて恒例行事だった頃を思い出し苦笑いをする。飲み始めて二時間も経つと、ほぼ全ての男性陣は裸族と化し、日頃の鬱憤を晴らしていたものだった。
今思うと、その場には女性行員もいたので完全にセクハラ案件だった。時代は変わるものだ、なんて昔を一人懐かしんでいるうちに宴は始まっていた。既に一本空いているし…
「そういえば、オマエとゆうこちゃんってどんな先輩後輩だったんだ?」
「光子先輩といえば江東区でも超有名な方だったので、その陰でコソコソしてただけですよ」
「はーー? ウソつけ、入学式の後にアタシにガン飛ばして突っかかって来たのオメエだろ」
「その後ボコボコに締められてー 後は金魚の糞でしたよー」
「オメエ… その後も何かっつうと文句ばっか垂れるわ、すぐ逆ギレするわ」
「でも、あの事件では本当に先輩に庇ってもらって… この人のためなら死のう、そう思いましたよー カッコ良かったなー 光子先輩」
湯飲みでクイッと日本酒を煽った後、ゆうこがしみじみと語る。




