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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第8章
239/550

目に青葉 その5


 案内された部屋は八名でも入れそうな広い和室である。流石に新しさはないが、壁の掛け軸や花瓶に飾られた一輪の花、窓からの景色のどれもが思わず溜め息が出る程の佇まいである。


 古いながらもそれを隠そうとせず、日本人の持つDNAに刻まれている古き良き日本、を思い出させてくれる部屋である。


「前と比べて、どうよ?」


「アタシは断然こっち。なんかエラソーな感じしねえ。古くからの物をスッゲー大事にしてる感じがする。いい!」


 クイーンも似た感想のようである。まあ前回みたいにテンパラなくて本当に良かった。



「ふふ、先輩ったら。よくわかってますね」


「って?」


「一流ホテルとかってドレスコードが有ったりして、こちらの格にお客様もお合わせください、っていう感じじゃないですか。でもここはお客様に自然体でお楽しみください、なんですよ。だから肩肘張らないで、思うがままに過ごせばいいんですよ」


 成る程。そういうことなのか、ホテルと旅館のコンセプトの違い。


「…… 勉強になる。先生、もっと教えてくれ」


 俺は素直にゆうこに頭を下げる。彼女はとびっきりの笑顔を返してくれる。


「そうか。いいな。そーゆーの、いいな」


「お二人とも、時間も時間だし、さっとお風呂いただきませんか?」


「いーねー。ゆーこ、行こうぜっ」


「先輩とお風呂なんて、うそみたい、行こ行こ」


 なんとも微笑ましい。俺もお風呂を「頂く」ことにしよう…


 あ。でも、天然ゆうこだけに、背中に赤サソリの刺青なんてしてねえだろうな… 後でクイーンに聞いてみよう。



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