目に青葉 その5
案内された部屋は八名でも入れそうな広い和室である。流石に新しさはないが、壁の掛け軸や花瓶に飾られた一輪の花、窓からの景色のどれもが思わず溜め息が出る程の佇まいである。
古いながらもそれを隠そうとせず、日本人の持つDNAに刻まれている古き良き日本、を思い出させてくれる部屋である。
「前と比べて、どうよ?」
「アタシは断然こっち。なんかエラソーな感じしねえ。古くからの物をスッゲー大事にしてる感じがする。いい!」
クイーンも似た感想のようである。まあ前回みたいにテンパラなくて本当に良かった。
「ふふ、先輩ったら。よくわかってますね」
「って?」
「一流ホテルとかってドレスコードが有ったりして、こちらの格にお客様もお合わせください、っていう感じじゃないですか。でもここはお客様に自然体でお楽しみください、なんですよ。だから肩肘張らないで、思うがままに過ごせばいいんですよ」
成る程。そういうことなのか、ホテルと旅館のコンセプトの違い。
「…… 勉強になる。先生、もっと教えてくれ」
俺は素直にゆうこに頭を下げる。彼女はとびっきりの笑顔を返してくれる。
「そうか。いいな。そーゆーの、いいな」
「お二人とも、時間も時間だし、さっとお風呂いただきませんか?」
「いーねー。ゆーこ、行こうぜっ」
「先輩とお風呂なんて、うそみたい、行こ行こ」
なんとも微笑ましい。俺もお風呂を「頂く」ことにしよう…
あ。でも、天然ゆうこだけに、背中に赤サソリの刺青なんてしてねえだろうな… 後でクイーンに聞いてみよう。




