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みずげんか その1
カーナビが目的地周辺です… と言うだいぶ前から、クイーンが
「あ、そこ右、真っ直ぐな真っ直ぐ、あのポストんとこ左…」
なんて感じでナビしてくれたお陰で、無事に俺たちは『三津浜動物病院』に到着する。そういえば、俺は今迄ペットを飼った事がないので、動物病院は初めてである。
車を駐車場に停めて外に出ると、さっきよりも強い日差しにクラクラしてくる。純子さんも久しぶりに本気の太陽を浴びたようで、パドスちゃんを危うく落としそうになっている。
平屋建ての白い建物はすぐ背後の濃い緑の山に映えている、動物病院と言うよりもサナトリウムのような雰囲気だ。
ピーヒョロロという鳴き声を見上げると、トンビが二羽大きな円を描いて飛んでいる。随分遠くに来たものだ、ああこれが旅愁という感情なのかな、なんて思ったりしてみる。
クイーンがまるで馴染みの居酒屋に入る感じで入口を入って行き、俺たちもそれに続く。思ったよりも古臭い、獣臭が脳に染みる。けれど何だか懐かしい感じがする。




