涼風 その4
まあ想定内ではあるのだが… コイツの惚れる男のパターンが何となくわかってきた。
まず年上。そして高学歴、専門的な職業。極め付けが、既婚者。
あれ…? 俺、外れてるし…
きっと彼女の三人目の彼氏もその系統なのだろう。いつか聞いてみよう。
それはさて置き、彼女が言いたかったことは、父親はお喋りで快活な性格だったが、息子の龍二はその真逆だった事らしい。しかもその理由が、片親だったので親の愛情を半分しか注げなかったから… 父として若干耳に痛い話である。
「で、保育園でも小学生になっても、全然他人と喋んねえのよ。それが、確か八歳くらいじゃなかったかな、小学校の飼育係になったんだわ。そんでハムスターかなんかをクラスで育ててたんだわ。そしたら担任から電話かかってきてよ、アタシに話があるって」
「ゴクリ。で?」
「おたくのお子さん、ずっとハムスターとお喋りしていて、クラスメイトが気味悪がってるってよ。家帰って龍二に聞いてみたんだよ」
「おお。そうしたら?」
「アイツ、『だってハムちゃん達は僕の話いっぱい聞いてくれるんだもん』って… さすがのアタシも凍りついたわー」
「オマエ… 龍二くんの話、あまり聞いてやらなかったのか?」
「だって。アイツの話って何言ってんだか良くわかんねーし。早口だし。例えばさ、地震が来るだろ、フツー怖がるよな、でもアイツはさ、今のがP波とか何とか訳わかんねーこと言って喜んでんだぜ」




