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涼風 その2
「なんか、切ねえな。うちの店に来てる時のあの明るさはよ、きっと家での、この子のことの悩みの憂さ晴らしだったんだな…」
クイーンが頭の後ろに腕を組みながら呟く。脇から小高い胸がチラリと見えて、危うくハンドルを切り損なう。何やってんだ俺… 俺のクイーン中毒も相当ヤバいのかも、なんて吹き出しながら、
「そうかもな。だとしたら、いくら龍二くんでも、パドスちゃんの事治せるかな?」
「純子の仕事中毒がさ、活字中毒に戻れば… な」
「なってもいい中毒とダメな中毒か… どんな名医でも、さすがに獣医じゃ人の心は治せないよな…」
俺もつい溜め息が出てしまう。
本来は本が好きな内向的な子が、社会の荒波に翻弄され本来の自分を見失っている。元々大人しいのに、初対面の俺らにあれだけグチり続ける。
心のどこかを病んでいる、としか言いようがない。これは獣医に行くよりも心療内科に行った方が良いのでは、なんて思いながら御殿場を通り過ぎていく。




