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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第6章
199/341

あおうめ その1


「で、クイーンの獣医の息子さんの所もついでに寄ろうか!」



 クイーンはハッとした顔となり、ようやく俺の意図を認識する。おせえんだよバーカ。


「あー、お、おう、それなそれ、龍二の顔でも久しぶりに拝んでくか、仕方ねえなあ、店は忍に任すか、うん、そうすっか、ハッハッハ」


 ゆうこは急に難しい顔となる。そして低い声で、


「え… それ別の機会で結構ですが…」


 俺は左手をゆうこの太ももから離し、ゆうこから七センチ離れながら、


「でもさ、心配じゃないワンちゃんの具合。早く診てもらった方がいいよ」


 クイーンもウンウンと頷く。ゆうこはクイーン、俺と順番に眺め、


「せんぱい、ちょっと」



 俺の腕を掴み、店の片隅に引っ張りだす。その力の強いこと… この細い腕のどこにこんな力強さが? 心なしか、腕がミシミシ言っている。ゆうこの目がかつてない凶暴な光が浮かんでいる…


 俺は背筋が冷たくなる。



「私のことダシにしてます?」


「え? いや、そんなー」



 それまでの凶暴な光は一瞬にして消え失せ、潤んだ瞳が俺を見上げる。そんな目で訴えかけられて心揺らがない男は乳幼児ぐらいだろう。俺も若干、いや相当、いやいや真剣にヤバい。


「私ね、昔からね、せんぱいの事…」


 まずい! 


 このままでは…


 目が吸い寄せられる、魂が俺から抜け出そうとしている!


 形の良い鼻、サクランボのような唇、微かに香るフランス製フレグランス、頭が… 心が… 魂が…


 ゆ、ゆうこ… ああゆうこ… ゆう…



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