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栗の花 その6
「ゆうこさん、来週の火曜日、水曜日って空いてるかな?」
急に犬の話から話題が変わり、ゆうこは少しキョトンとしつつも、
「はい、空いていますよ」
即答。しかも目がキラキラ輝いている。ふと先週の彼女の呟きを思い出す…
(まだあるんだチャンス)
やはり彼女は俺に気がある。それが本物かどうかは分からないが、どうやら同中の先輩として憧れから続く大人の恋っぽい感じだ。少々キケンな香りは否めないが、そして彼女に申し訳ないがそれを利用させてもらおう。
視線を感じる。クイーンを一瞥すると目を逸らす。急に鼻歌を口ずさむ。よし。第一関門突破。
「空いていますよ、せんぱい。」
「そうか、あのさ、お泊まりで温泉旅行って可能?」
『居酒屋 しまだ』名物、今週も店内に響き渡る、ジョッキの自由落下音。今夜は従業員の忍は休みなので、クイーン自ら後始末を始める。
「泊まりって… せんぱい… いいんですか、光子先輩いるのに?」
こいつ何言っちゃってんの、光子先輩の目の前で的な怪訝な表情のゆうこに、
「クイーンと三人で、修善寺の『あおば』っていう温泉旅館行かないか?」
さあ来い! 食いついて来い!




