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栗の花 その1
それ晩以来、ゆうこはすっかりこの店の常連となる。千鳥ヶ淵から頻繁に… 酒は滅法強く、決して酔い乱れることはない。ゆうこが目的な訳ではないだろうが、この頃より『居酒屋 しまだ』の客が増え始める。それもこれまでの昔ながらの常連客ではなく、一見からの客ばかりである。
平日の夜なのに、七時を回る頃には満席、満卓。何でも口コミで〆の深川メシがちょっと評判になったようで、来る客皆が深川メシを求め満足して帰っていくそうな。
故に、仕事帰りに顔を出しても、ど満席で泣く泣く帰宅、なんて夜も増え始め。店側も対応策として、常連専用席、すなわちカウンターの二席は必ず空けておくこととすることで、俺、健太、そしてゆうこの誰かしらがいつ来てもこの席に座れるようになったのだ。
俺とクイーンは相変わらずあの時のままだ。あの夜はちょっと気まずくなったが、翌日からは互いにバカを言い合ってワイワイ飲んでいる。それを忍と健太が生暖かく見守っている。
俗に言う、関係の先送り、である。




