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栗の花 その2
そんなある夜。俺、クイーン、そしてゆうこの歯車が動き出す。
この日もド満席だったが、三回転目の九時からの客の入れが悪く、十時過ぎには三割程度の入りであった。この日のゆうこは九時過ぎにフラっと現れたのだが、最初から表情が固くいつもよりも元気が無い様子であった。それは、
「娘の飼い犬が調子悪いんですよー」
のが原因だそうで。
「へー娘さん犬飼っているんだ。確か同居じゃなかったっけ?」
「そうなんです。娘はOLなので、昼間は私が面倒見ているんですよ」
いつもと違い憂い顔のゆうこ。これも実に男の庇護欲をそそるヤバいやつである。
「犬かーーー アタシはドーベルマンがいいねえ」
クイーンがiQOSをふかしながら言うのだが、確かにこの女にこそ似合いそうな犬だ。チワワとかダックスフントとか死んでも似合わない。
「因みに何を飼っているの?」
「豆柴なんですけど。あれ、せんぱいも犬飼ってるとか?」
「飼ってないよ。俺も母親も娘も、あまり犬が…」
「えー、ぜひ飼ってみてくださいよお、ぜったい好きになりますよおー」
と真正面から瞳をガッツリロックオンされると、今夜帰りに犬を買いに行きたくなる。やはり本当に危険なオンナである。




