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ドクダミ その5
例えば。
今夜の俺とクイーン。一緒に並んで歩けば、すれ違う人々は「え?」と首を傾げながら振り返る程、違う。Theoryの紺のサマージャケットにBOSSの白のボタンダウンシャツ、スピカのオーダーシューズの俺と、赤地にキチガイ兎の描かれたTシャツ、穴の空いたスキニージーンズ、安売り量販店のペンギン絵柄のサンダルを履いたクイーン。正直、全く違う人種である。
昔から意外に健康に気を使い、タバコはやらず深酒も避け、暇な時にはホテルのジムで体を鍛えてきた俺と、毎晩泥酔、やっと最近紙巻きから電子タバコに、定期的な運動なぞ皆無のクイーン。全く価値観が違い過ぎる。
コイツを代官山の流行りの一流フレンチに連れて行きたいか、と問われれば… それはちょっと無いな、思っているのは事実である。
などと、俺が心中で考えていることを意外に聡いクイーンが、感じてしまっているのではないだろうか?
有名国公立大学卒で元銀行支店長のエリートと、中卒で孫もいる地元のヤンキー崩れの女。クイーンと一緒にいることを俺が公にしたくない、誰にも紹介出来ない、もっと言ってしまえば、『社会的価値観が違う』女とは付き合えない。
そんな風に俺が思っていると?




