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花菖蒲 その5
だよなだよなだよな… 一見チャラくて男にズボズボ感溢れるクイーンなのだが。その貞操観念は明治時代の女性の如く、硬く固いモノなのである。バブル上がりの俺ら世代のノリと勢いで温泉行っちゃうー? なんて断じて通用する相手ではない。
忍からは白い目で見られ、ゆうこからは呆れた悲しい視線を受け、割とメンタルが削られてんな今、自己分析する。当のクイーンは挙動不審の動作で、厨房とカウンターを行ったり来たりしている。
そんな気まずい雰囲気を掻き消すかのように、ドアが喧しくガラガラと開き、
「チイーーっす おっ 赤蠍じゃん、どーもー」
「今晩は、健太くん。弥生ちゃんお元気ですか?」
「ウチのババア? 生きてるよー 先週ここに連れてきたんだよ、ゆうこちゃんに会いたがってたよー」
「えーー 是非是非! 今度また連れてきてくださいねっ」
「今度とお化けは出た試しが無いんだっつーの。てか、何? どうしたんそこ?」
忍がキレかかった表情で、
「健ちゃん、聞いてよー キンちゃんがさー……」
「おい軍司。オマエが悪い。お前一人が悪い。」
この腐れ縁の幼馴染に言われると、無性に腹が立つ。
「は? オマエには関係ないだろう。これは俺とクイーンの…」
健太がジョッキをカウンターにドンっと置いて、語り出す。




