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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第6章
179/341

花菖蒲 その2


「で。何だよ頼みって? また、アレか、温泉一緒に行ってくれってか、仕方ねーなー、一丁ひと肌脱いでやっか!」


「えーーー、先輩いやらしぃーー、せんぱいの前で脱ぐんですかぁ! それで、一緒にお風呂入っちゃうんですかぁー?」


 忍がややうんざり気味で、


「…ゆうこさん、何かキャラ変わってません?」



 そうなのだ。ここの所彼女はややメンヘラ気味だ。で、それがまた良くツボを突いてくる。狙ってやっているのなら相当痛い、だって50女がヘラヘラデレデレとかウザ過ぎて絞め殺したくなる。


 だが彼女は狙ってやっている訳ではない、すなわち相当な天然物なのだ。テレビでのキャラそのものなのである。それは少女時代を知るクイーンや健太の妻の証言も同じであり、もし世代随一の危険な暴力娘でなければ、完全にいじめの対象となりうべきボケっぷりだったそうな。


 彼女のコードネーム、いや二つ名は『赤サソリ』と呼ばれていたそうだが、本人は『紅サソリ』の方が良いと言い張っていたとか、今日の気分は黒猫なのと黒のブラジャーを頭に乗っけて登校したとか…


「いやー、マジでコイツやべー奴だと思いましたよ、アンパン(シンナー)食い過ぎて頭溶けてんのかと… その日は一日中、何話しかけても『にゃー』しか言わねえし」


 先週、珍しく健太が奥さんを連れてきていた時に、彼女は震えながら語ったものだった。



 それぐらい天然モノなのだ、ゆうこは。つまり、男にとって大変危険なオンナだ、特に真面目で仕事一途系にとっては。


 俺もどちらかと言えば仕事邁進系だったので、これ系には正直、弱い。過去の彼女達も系統としてはこれ系だった。本気で付き合うことは難しいが、一緒にいるとホッとするし癒しになる。


 事実、この『しまだ』に彼女が来ると、俺は露天風呂程ではないが癒される。



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