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くろはえ その5
根気強く彼の秘湯話を聞いていたが、とても業務時間内に終えることはないと判断し、企画書の話に戻る。話足りなさそうな彼に、今度飲みながら聞かせてくれよと言うと、これまででいちばんの笑顔を俺に呉れた。
「成る程… 修善寺ね…」
「はい。当社の展開の取っ掛かりとして、まずは誰もが認める最高級旅館から始めてはどうかと」
彼は修善寺にあるという、超高級旅館を想定して計画案を練っているようだ、行ったことねえし、聞いたこともねえ。それを言うと彼に怒鳴られそうなので、
「まあ、いいんじゃない。明日のプレゼン期待してるよ」
「ハイ。で、もし企画通ったら、また金光さんお願いしますよ?」
物凄い気迫で迫られ、思わず首をカクカク振りながら、
「それって、プラスαを期待しているんだよな…」
「バレました? こないだみたいな凄い人脈とか、知られざる温泉饅頭とか…」
温泉まんじゅうくらいなら、何とか探して来れそうだ。クイーンに丸投げしてしまおう!
「ハハハ。精々頑張るよ」




