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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第6章
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くろはえ その4


 するとホントに木曜の夕方、山本くんは分厚い企画書を仕上げてきたものだ。


 何となく出身大学を聞いてみると聞いたこともない大学だが、学生時代はバイト→旅→バイト→旅のカルマに取り憑かれてしまい、ふと気がつくとこの会社の入社式に出席していたとの事。


 好きな事や趣味を仕事にすることに俺は反対である。仕事とは金を稼ぐための行為であり、家族ができればそれを養うための必然的な社会的行動なのである。それは好きだからやる、趣味の延長としてやるべきものではなく、仕事は仕事と割り切ってなすべき活動だと思う。


 好きでもない活動を週五日やり、休日にこそ好きなことや趣味をすれば良い。精神衛生上もオンオフの切り替えがあった方が絶対いいに決まっている。


 ちなみに前職である銀行にお金が趣味なんて奴は一人も居なかった。あ、貯金が趣味とか投資が趣味、なんてのは居たけれど、そんな奴に限って人間味は無くただのがめつく卑しい人間にしか思えなかった。



 だが。この会社の社長以下の社員達は、その殆どが旅が大好きで人生の生き甲斐だと言う。俺は未だに全く理解できないし、賛同することは今後も多分ないだろう。


 そんな旅が趣味とも言える山本くんは、本当は俺が妬ましいのではないかな。仕事とは言え旅行に行く。それも自分の金ではなく会社の金で。そこのところの本音を聞いてみると


「僕が行きたい旅って、こういうのじゃないんですよ」


「というと?」


「僕、バックパッカーだったんです。それも人跡未踏的なレアな所に行くのが好きなんです。例えば青森の白神山地の奥にですね、…」



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