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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第5章
170/550

五月闇 その8


 勘定を払い、暖簾を上げて店の外に出る。相変わらず低く黒い空から小雨が無限に降っている。そんな空をクイーンと二人で見上げていると、


「タバコ、やめっかな」


 不意にクイーンが俺の耳に入る位の小声で呟く。えっと思い彼女を見下ろすと、クイーンは慌てた素振りで、


「ち、ちげーよ、店を禁煙にすっかな、って話だってば。アレだろ、禁煙にしたほーが、一見客とかもっと入るんだろ?」


「ああ、そう思うぞ。外見はこんなにオシャレなんだから、そう言うところをちゃんとやっていけば、その内予約の取れない居酒屋になったりしてな」


 クイーンは俺を見上げ、満面の笑みで、


「そう思う? うんわかった、明日から禁煙にするわ、この店。それじゃ気をつけて帰ってね」


 ……どうしたクイーン、突如あのモードに…?



 俺は何度も何度も首を傾げながら、夜梅雨に打たれつつ帰宅の途につく。


 歩きながら、一句。



 梅雨の夜に 彼女のモードが 少し変



 我ながら素晴らしい。いつ来るかわからないが、ゆうこに採点してもらいたい程の出来である。今夜はいい夢が見れそうだ。



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