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五月闇 その8
勘定を払い、暖簾を上げて店の外に出る。相変わらず低く黒い空から小雨が無限に降っている。そんな空をクイーンと二人で見上げていると、
「タバコ、やめっかな」
不意にクイーンが俺の耳に入る位の小声で呟く。えっと思い彼女を見下ろすと、クイーンは慌てた素振りで、
「ち、ちげーよ、店を禁煙にすっかな、って話だってば。アレだろ、禁煙にしたほーが、一見客とかもっと入るんだろ?」
「ああ、そう思うぞ。外見はこんなにオシャレなんだから、そう言うところをちゃんとやっていけば、その内予約の取れない居酒屋になったりしてな」
クイーンは俺を見上げ、満面の笑みで、
「そう思う? うんわかった、明日から禁煙にするわ、この店。それじゃ気をつけて帰ってね」
……どうしたクイーン、突如あのモードに…?
俺は何度も何度も首を傾げながら、夜梅雨に打たれつつ帰宅の途につく。
歩きながら、一句。
梅雨の夜に 彼女のモードが 少し変
我ながら素晴らしい。いつ来るかわからないが、ゆうこに採点してもらいたい程の出来である。今夜はいい夢が見れそうだ。




