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五月闇 その6
明日はテレビの収録が朝からある、と言って十一時頃にゆうこは店を出て行く。その後ろ姿を俺と忍とクイーンと、あとほぼ満卓の店の客全員で見送った後。店はなんだか空っぽで虚な雰囲気となってしまう。
あれだけオーラがある人が、あれだけ楽しそうに飲んでいる姿は、もうその姿を眺めているだけで周囲の人々は幸せを享受できてしまうのかも知れない。普段は無遠慮で面倒臭いこの店の常連達も、しつこく話しかけたり絡んだりすることをせずに、遠くから彼女を眺め、目を細めながら旨そうに酒を飲んでいた。
「間宮由子が来るんなら、また来ようぜ」
「神々しいな、目が眩みそーだぜ、また後光を崇めてえわ」
なんて声が彼らから上がっている。
先月初めてこの店に来た頃とは、何と違うことだろう。有名人の再訪、梅雨なのに気がつくとほぼ満卓。
あれ? この店にそんな魅力ってあるのか? 飯の味はそこそこ、値段もちょい高、まあ俺のアドバイスで出すようになった〆の深川メシは本当に美味いのだが。




