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カタツムリ その4
空気が澱む、とは正にこの状況のことである。間宮先生は俯き、オタフクとツリ目はバツの悪そうな顔で下を向く。
「えーっと… あーごめんごめん… 有名人にそんなこと聞くの失礼だよな…」
健太はちょっと焦りながらゴニョゴニョ言う。
「ちょ、ちょっと健太… ったく空気読めよボケ!」
「ははは… まあまあ。それよりさ、この店はどうやって知ったの?」
なんて俺が話題を変えようと方向指示器を出した時。間宮先生が徐に、
「あの… 金光先輩は… 噂で聞いたのですが…」
噂で? 貴女のような美しい有名人が、俺如きの噂を? 何と勿体ない…
「んーー 三年前、病気で。今は母親と娘の三人暮らし。その母がさあ、最近俳句に凝っててさ。お袋、先生の事知ってんじゃないかな、ははは…」
「ごめんなさい… 失礼な事聞いてしまって…」
間宮先生が顔を両手で押さえながら、申し訳なさそうに何度も頭を下げてくれる。その度に豊かな胸元が見え隠れして、俺は徐々に幸せの絶頂に……
「いや、全然、まあ、その…」
だが店の空気は更に澱み、澱となって床に沈殿する…




