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虎が雨 その2
「あ、キンちゃん、らっしゃいー」
「キンちゃんて… もう定着なのその名前、白ぶ… 忍ちゃん」
「わざと言い間違えてるよね毎回―ったく。生?」
この店の従業員でありクイーンの舎弟? 舎妹? 昔のヤンキー時代からクイーンを慕い続けている小林忍は豚のよう… もとい、膨よかな体型ながらチャキチャキ動く、気っ風のいい下町おばさんだ。
「姐さん、買い物してから来るからもうすぐですよ」
「そっか。健太もそろそろじゃないかなー」
扉がガラガラと開き、噂をすれば俺の中学生以来の数少ない友、高橋健太が入ってくる。
「おいーっす。梅雨入りウザいわー。ったくよー。忍ちゃん生っ」
昔から一貫して喧しい。
「おー、専務、何かいい話ないのかよ?」
「あってもお前には回さん」
「えー、酷えよ、今度は俺も熱海辺りの高級温泉連れてってくれよー」
「あー、キンちゃんアタシもアタシもー」
ガラガラガラ、少し乱暴に扉が開く。




