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梅雨曇 その6
「か、金光さん…」
「おう。何だ?」
「ISSAの調査員って、ミシュランもそうらしいですけど、絶対に表に出ないんですよ!」
「え、そうなの?」
「ハイ。そして、一つの温泉を色々な角度から、数百項目のチェックポイントを炙り出すんです。その評価の信頼性は…」
「ゴクリ。相当なものだろうな…」
「ええ。しかもその方はシニアインスペクターですか… 確か世界に十人程しかいないかと」
それまでつまらなさそうに聞いていた三ツ矢営業部長が初めて顔を上げる。
「ほーー。流石専務。仕事も完璧にこなした上に凄い人脈をゲットですな。命を救ったんですから、当然その見返りを当社として期待してよろしいんですよね?」
命と仕事を天秤にかけるとは… 流石ハイエナ元商社マン…
「いや、ホントですよ。是非我が社を手助けして欲しいところです」
お人好し田所常務が乗っかってくる。いやアンタ仕事しろよ。てか、ホントは行きたかったんだろ、『銀の竪琴』。
「これからも金光さんに出張全部任せちゃいましょうよ!」
企画部長の迫田が吠える。確かコイツも山男。暑いやつだ…




