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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第4章
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はじまり その5


 十二時過ぎて、皆帰っていった。


 俺は今日のお礼をキチンと言いたかったので、一人カウンターの端でジョッキを舐めている。厨房の火を落とし、洗い物を終えクイーンがハイボールのグラスを片手に隣に座る。



「あーーー、疲れたーーー」


 タバコを口に咥えたので、ライターをつまみ上げ火を付けてやる。旨そうに煙を吸い込み紫煙を上に吐き出す。その動作がいちいちキマっている。


「今日はホントに、ありがとな」


 何故か彼女は体をビクつかせ、タバコをカウンターの上に落っことす。


「べ、別に大したことっつうか、なあ、まあ… おう」


 疲れた上にハイテンションで呑んでいたからだろう、いつもより顔が赤い。


「いや、葵のあんな嬉しそうな笑顔、俺は見た事無いかも知れない」


「そっか」


「あと、お袋のさ、あんな嬉しそうな顔、俺今まで知らなかったかも…」


 クイーンは遠い昔を思い出すような遠い目をしながら、


「そか? あんな感じだったぜ昔から」


「そっか、そうなんだ。やっぱ俺、昔から自分しか見てこなかったんだな。家族の事も、友達の事も、妻や娘の事も…」


 クイーンは煙を口… 鼻から出しながら、そーじゃねえよ、と呟く。



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