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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第4章
128/550

はじまり その4


「あんたって子は。ブハハハ」


「いやお袋、それはないって、ホントに…」


 健太が割とマジな目付きで、


「軍司ーーー見たのかーーーーー クイーンの…」


 余りの迫力にちょっとビビりながら、


「いや健太、見てない、いや、見た。それは見た。だが…」


 すかさず忍が助太刀してくれる。


「そりゃー勃ちますわー。姐さんの裸、マジ神だから… おい、なに人の体、想像して嫌そうな顔してんだよコラ!」


 この店に来る様になって一番の盛り上がりである。



 父親として、息子として、これから一体どんな顔をして暮らしていけば…。


 恐る恐る葵を眺める。未だかつて見たことの無い屈託のない笑顔だ。


 お袋はと言うと目を細め本当に幸せそうな顔をしている。


 仕事一筋、オンナ少々。ほぼ家庭を顧みずに出世、権力、性欲という己の欲望のみを追い求めてきた俺。


 仕事に挫折し、妻に先立たれ、男として不能となり生きる目的も気力も失いかけていた俺が、今見ているこの光景は本当に現実なのだろうか。


 娘の笑顔。母の慈愛。それにかつて無いほどの安らぎを感じている俺。そして…


「そんでよー、サービスエリア通り越した言い訳が『涙で標識が見えなかった』からだとよ。笑わすんじゃねーよな… あれ? …えーと…」


「え!」


「わっ!」


「ハア?」


「何で…?」


「ふふふ。」


 皆が俺の顔を見て、呆れ仰天恐れ慄いている。


 みんなの顔がボヤけてくると同時に、一筋の鼻水が俺のジョッキに注がれた。



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