再会 その12
思わず健太の後ろに後退りする。何故銀行員にこの反応を? 即座に俺は察する。そして店内をぐるりと見廻し確信する。
この店の外観の造りは申し分無い。元々古い住居だった家屋を古民家風に改築し、時代を感じさせる中々の出来である。
しかし店の内装と什器類がショボすぎる。なんだか安っぽいスナックの様だ。これは飲食店融資案件あるあるの典型で、外観に資金掛けすぎて内装まで手が回らなくなったのだろう、追加融資を銀行に申請するもあえなく却下され…
ま、地元の有名なワルに、そうそう簡単に融資する銀行があるとは思えないが。俺の元いた銀行ならば、書類審査でボツ事案である。
その結果、逆恨みでこの様な反応なのであろう。
つくづく、この地元の柵にうんざりしてしまう。
「いや、今は銀行から出向中で、ちっちゃい旅行代理店勤務だよ」
本当の事をこの場で言う気にもなれず、事実を少し脚色して伝える。
白豚はあっさりと、
「なら許す」
いやぁ白豚に許されてもなぁ……
一瞬の間のあと、突如クイーンと健太が爆笑する。
白豚が俺の胸を掴み、
「だーれが白豚じゃ、コラ。あたしゃ、忍だっちゅーの!」
あ。しまった。心の中で呟いたつもりが声に出てしまったようだ。最近多いんだよなコレ。葵にもよく注意されている。会社でも気味悪がられているようだ。
「忍ちゃーん、そろそろビール出してよー ビール! 生ルービー!」
健太のウザいナイスフォローで、ようやく俺たちはカウンター席に座る。クイーンもエプロンを鯔背に羽織って厨房に入っていった。




