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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第4章
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地獄変 その5


 俺は腕を掴もうとした。そして引っ張ろうとした。ところが彼女は上下動を繰り返していた。従って俺が手に掴んだのは彼女の腕ではなく、胸に巻いたタオルであった。そして引っ張ったのは彼女の腕ではなく、タオルであった。


「オレンジ色のショックボタンを押してください」


 今になって思い出しても、俺はオレンジ色のボタンを押した記憶がない。


 宿の人は俺が音声と同時に直ぐ押していたと言う。ならそうなのだろう。



 初老の男性の止まっている心臓にショック電流が流れるのと同時に、俺の脳にもピンク色のショック電流が流れたのだ。



 ボタンを押す直前の状況を整理してみよう。


 全裸で横たわる初老の男性。タオルを剥ぎ取られた全裸の女性。右手にタオル、左手はボタンに手を伸ばす全裸の俺。唖然と立ち尽くす宿の人々。   



 俺の左指がボタンを押したであろう瞬間、俺にタオルを剥ぎ取られ呆然としているクイーンが目に入った……


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