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地獄変 その4
どれ程時間が経っただろう。十分以上は経ったはずだ。何をしているんだアイツは?
心臓マッサージと人工呼吸を繰り返しながら、俺は次第に不安になっていく。このままではこの人を救えない。早く、早く来てくれ、不安が焦りに変わり始めた頃、ガシャーンとドアを乱暴に開ける音がする。
「持ってきたぞっ」
「よし。お前、俺に代わって心臓マッサージを続けろ」
「お、おう… こ、これでいいのか?」
俺がやっていた通りに彼女は腕を伸ばし、彼の胸を両手で押さえながら上下動する。
「それでいい」
赤いAEDの箱を開け電源ボタンを押すと、あの機械の音声が指示を出し始める。遅れて宿の人達が雪崩れ込んでくる。
音声の指示通りにパッドを彼の胸に貼り付ける。宿の人に救急車の手配は、と聞くと直ぐに来ると言う。機械の音声があの時と同じ声音で
「電気ショックが必要です。体から離れてください」
皆一斉に飛び下がる、一名を除いて。
「もういい、下がれ」
「でも」
「早く!」




