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極楽 その7
それにしても、この初老の男性、どこかでお会いしたことがあるような。銀行時代だろうか…
「温泉は昔からよくいらっしゃるのですか?」
「いや、僕、大好きなんですよ、むかーしから」
「はは、そうなんですか」
「いや貴方、いいですよ温泉。歌の上手な奥様もお喜びでしょう」
俺は頭をリアルに掻きながら、
「あーー、連れは… 友人です」
「…」
「…ハハ」
突然、初老の男性の態度が変わる
「いやー、貴方やりますなー、ここ十万くらいしたでしょう、貴方、自営業?」
「まあーー、どうでしょうねー」
「いやーー、羨ましい、ってお連れの方、拝見してませんけど、さぞやお美しい…」
「それは無い、です」
歌声が止み、んだとコラ、と聞こえた気がしたので言い直す
「んー、綺麗というよりは粋な女、って感じですかね」
男性はうっとりとした表情で、
「いやーーー、粋な女性ですか。小股が切れ上がって颯爽とした昔気質の女性、素晴らしい、私の古女房とは月とスッポンなのでしょうなぁ、ぜひお会いしてみたいものですな」
奥さんに言い付けてやるぞ、なんて思いつつ
「ハハ、機会があれば…」
やんわりとお断りを入れる。それにしてもどこかで…




