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King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第3章
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極楽 その7


 それにしても、この初老の男性、どこかでお会いしたことがあるような。銀行時代だろうか…


「温泉は昔からよくいらっしゃるのですか?」


「いや、僕、大好きなんですよ、むかーしから」


「はは、そうなんですか」


「いや貴方、いいですよ温泉。歌の上手な奥様もお喜びでしょう」


 俺は頭をリアルに掻きながら、


「あーー、連れは… 友人です」


「…」


「…ハハ」



 突然、初老の男性の態度が変わる


「いやー、貴方やりますなー、ここ十万くらいしたでしょう、貴方、自営業?」


「まあーー、どうでしょうねー」


「いやーー、羨ましい、ってお連れの方、拝見してませんけど、さぞやお美しい…」


「それは無い、です」


 歌声が止み、んだとコラ、と聞こえた気がしたので言い直す


「んー、綺麗というよりは粋な女、って感じですかね」


 男性はうっとりとした表情で、


「いやーーー、粋な女性ですか。小股が切れ上がって颯爽とした昔気質の女性、素晴らしい、私の古女房とは月とスッポンなのでしょうなぁ、ぜひお会いしてみたいものですな」


 奥さんに言い付けてやるぞ、なんて思いつつ


「ハハ、機会があれば…」


 やんわりとお断りを入れる。それにしてもどこかで…



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