↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
King & Queen   作者: 悠鬼由宇
第3章
104/550

極楽 その4


 それよりも、露天風呂だ、露天。


 浴衣を男らしく脱ぎ捨て、藤籠に放り投げる。大いなる期待感を胸に、露天風呂への扉をゆっくりと開いていく。


 ちょっと肌寒い風が少し火照った体に気持ちが良い。新緑の湿った匂いと、軽い硫黄臭に体が喜び始めている。


 一歩進むたびに足裏が冷たい。だが歩を進めていくに従い、逆に胸は熱くなっていく。


 早く入りたい。すぐ目の前の、緑に囲まれた露天風呂に!


 新緑に囲まれた偉大なる露天風呂を目の前に。


 あろうことか、隣の露天女湯から歌声が聞こえてくる。


 間違いなくクイーンのそれである。誰の歌かは知らないが、この高級な湯には全く不似合いな、場違いな行為だ。何を考えているんだか。さっきまではあれ程縮こまっていた癖に。


 当然ながら知らん振りを決めつけて、大自然の下の湯に浸かる。



 今の世の中で、外で全裸になることがありますか?


 海外のヌーディストビーチなどを除き、日本のこの露天風呂という存在は何なのだろう。


 大自然の下、日ごろ自分を覆っている鎧を脱ぎ、生まれたままの姿に戻り自然に還っていくための神聖な場、とでも言うのだろうか。


 この圧倒的な開放感は、かつて経験のない程俺をリラックスさせる。空を見上げると相変わらずの曇り空である。何なら一雨来てもおかしくない。だがそんな空気に自分自身が溶け込んでいる不思議な感覚に陥る。


 そう、一言で言うなら、自然と一体化している、とでも言うのだろうか。


 すると隣の下手クソな歌も森の精霊の歌声に聞こえなくもない。目を瞑って聞いていると、風のざわめきと共に本当に大自然のコーラスに聞こえてしまう。


 …って、アレ? 普通に上手いじゃないか…


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。