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終焉を継ぐ者  作者: 異世界の神様
継承者の目覚め
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4/12

第4話 小さな居場所

いつも『終焉を継ぐ者』を読んでいただきありがとうございます。


 第4話では、レインがルークス村で初めての日常を過ごします。


 昨日までは命の危機に追われていたレインですが、今回は少しだけ穏やかな時間が流れます。


 村人たちとの交流や、フィアとの何気ない会話を通して、レインが少しずつこの世界での居場所を見つけていく様子を楽しんでいただければ嬉しいです。


 それでは、第4話をお楽しみください。


 ルークス村で迎える最初の朝。


 レインは窓から差し込む柔らかな陽射しで目を覚ました。


 ぼんやりと天井を見上げる。


 木造の天井。


 質素な部屋。


 見慣れない景色。


 一瞬だけ自分がどこにいるのか分からなくなったが、すぐに昨日の出来事を思い出した。


 森で目を覚ましたこと。


 巨大な狼に襲われたこと。


 終焉因子という謎の力。


 そしてルークス村へ辿り着いたこと。


 どれも一日で起きた出来事とは思えなかった。


「本当に転生したんだな……」


 小さく呟く。


 夢なら良かったのか。


 それとも現実で良かったのか。


 自分でも分からない。


 ただ一つだけ言えるのは、前世には戻れないということだった。


 後悔ばかりの人生。


 何かを変えたいと思いながら、結局何も変えられなかった人生。


 今はもうそこには戻れない。


 だからこそ、この世界でどう生きるかが大切だった。


 レインはベッドから降りる。


 窓を開けると朝の冷たい風が流れ込んできた。


 村の人々の声が聞こえる。


 家畜の鳴き声も。


 その全てが新鮮だった。


 前世では当たり前だった人の営みが、今はどこか特別なものに思える。


 顔を洗い、服を整えたレインは外へ出た。


 村はすでに動き始めていた。


 畑へ向かう人。


 薪を運ぶ人。


 井戸で水を汲む人。


 小さな村だが活気がある。


 人々は忙しそうに働いているが、その表情はどこか穏やかだった。


 そんな光景を眺めていると、不思議と胸が落ち着いていく。


「おっ、起きたか」


 声を掛けられた。


 ガルドだった。


 相変わらず大きな体をしている。


「おはようございます」


「よく眠れたみたいだな」


「はい」


「なら良かった」


 ガルドは豪快に笑う。


 昨日会ったばかりなのに、その笑顔を見ると安心する。


 前世では近所付き合いもほとんどなかった。


 だからだろうか。


 こうして気さくに話しかけてくれる人がいるだけで嬉しかった。


「今日は薪運びを頼みたい」


「分かりました」


「無理はするなよ」


 そう言われながら作業場へ向かう。


 薪の山は思ったより大きかった。


「これ全部ですか?」


「全部だ」


「ですよね……」


 思わず苦笑する。


 だが嫌な気持ちはなかった。


 むしろ役に立てることが嬉しかった。


 レインは薪を抱える。


 重い。


 前世の感覚で考えると大した重さではない。


 しかし今の身体では十分重かった。


 何度も往復する。


 腕が痛い。


 足も疲れる。


 それでも続ける。


 少しずつ薪の山が減っていく。


 その様子を見ると達成感があった。


 前世では途中で投げ出すことが多かった。


 面倒だから。


 どうせ意味がないと思ったから。


 だが今は違う。


 目の前の仕事を終わらせることに意味がある。


 そう思えた。


「頑張ってるね」


 不意に声が聞こえた。


 振り向く。


 そこにはフィアが立っていた。


 銀色の髪が朝日に照らされて輝いている。


「見てたのか」


「ちょっとだけ」


 そう言いながらフィアは近くの切り株へ腰掛けた。


「大変そう」


「かなりね」


「私はやりたくない」


「俺だってできればやりたくない」


 そう返すとフィアは笑った。


 その笑顔を見て、レインもつられて笑う。


 昨日会った時は不思議な子だと思った。


 だが話してみると意外と普通だ。


 いや、やっぱり少し変かもしれない。


「フィアは何してるんだ?」


「お手伝い」


「何の?」


「秘密」


「またそれか」


 フィアは楽しそうだった。


 レインは肩をすくめる。


 他愛のない会話だった。


 それでも楽しかった。


 前世ではこんな風に同年代と話すことは少なかった。


 学生時代が終わってからは特にそうだ。


 気付けば一人でいることが増えていた。


 だからだろうか。


 こういう時間が妙に心地良かった。


 昼頃になると作業は終わった。


 ガルドから礼を言われ、少しだけ誇らしい気持ちになる。


 自分でも役に立てた。


 その事実が嬉しかった。


 昼食を食べた後、レインは村を歩いて回ることにした。


 改めて見ると、本当に小さな村だ。


 家の数も多くない。


 大きな建物もない。


 王都や大都市とは比べ物にならないだろう。


 だが温かさがあった。


 歩いていると村人たちが声を掛けてくれる。


 昨日来たばかりの自分を気に掛けてくれる。


 それが嬉しかった。


 前世では感じたことのない感覚だった。


 やがて村外れの丘へ辿り着く。


 そこからはルークス村全体が見渡せた。


 畑。


 家々。


 遠くに広がる森。


 風が吹く。


 気持ち良かった。


「いい場所だな……」


 自然と口から言葉が漏れる。


 昨日まで何もなかった。


 居場所も。


 知り合いも。


 未来も。


 それが今は少し違う。


 この村には人がいる。


 優しくしてくれる人たちがいる。


 友達になれそうな少女もいる。


 胸の奥が温かくなる。


 その時だった。


 ドクン。


 胸の奥で何かが脈打つ。


「っ……!」


 終焉因子だった。


 狼と戦った時と同じ感覚。


 身体の奥から熱が広がる。


 だが今回はすぐに収まった。


 数秒ほどで何事もなかったかのように消える。


「なんだったんだ……」


 答えはない。


 頭の中の声も聞こえない。


 ただ不安だけが残る。


 終焉因子。


 継承者候補。


 あの狼。


 全てが繋がっている気がした。


 だが今の自分には何も分からない。


 レインは空を見上げる。


 青空が広がっている。


 平和だった。


 だからこそ思う。


 この景色を守りたいと。


 まだ村へ来て一日しか経っていない。


 それでもルークス村が好きになり始めていた。


 前世では守りたいと思えるものを見つける前に諦めていた。


 だが今は違う。


 逃げたくない。


 後悔したくない。


 この世界で生きていく。


 自分の足で。


 自分の意思で。


 夕暮れが近付いていた。


 赤く染まる村を見つめながら、レインは静かに拳を握る。


 その小さな決意が、やがて世界を変える第一歩になることを、今の彼はまだ知らなかった。

第4話を読んでいただき、ありがとうございました。


 今回は大きな戦いや事件はありませんでしたが、レインにとってはとても大切な一日だったと思います。


 ルークス村での生活が始まり、村人たちとの関わりやフィアとの交流を通して、少しずつ「この世界で生きていく」という実感が芽生え始めました。


 また、終焉因子にも小さな変化が見られました。


 今はまだ平和な日々ですが、その裏では少しずつ物語が動き始めています。


 次回はレインとフィアの関係がさらに深まり、ルークス村での生活にも少しずつ慣れていくお話になります。


 もし面白いと思っていただけたら、感想やブックマークで応援していただけると励みになります。


 それでは、また第5話でお会いしましょう。

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