♥ セロロSaid 1‐2
セロロ
「( せめて…夢の中だけでも、ワタシはメグムを生かしたい…。
メグムを死なせたりしない )」
セロロは茜梶惠の身体を強く抱きしめる。
セロロ
「( どうか…今は未だ──、夢よ…覚めないで…… )」
夜も深まり、茜梶惠が寝静まった頃合いに、馬車が停車した。
セロロ
「 うん?
急に止まって、どうしたのかな? 」
オシュト
「 主殿──、大事な話が御座います 」
セロロ
「 うん?
大事な話かい?
何かな? 」
オシュト
「 …………此処は……この世界は……主殿の夢の中では御座いませぬ 」
セロロ
「 …………うん?
ワタシの夢の中ではない??
それはどういう事…なのかな? 」
オシュト
「 原因は解りませぬ。
この世界が主殿の夢の中ならば、我等が意思を持つ状態で存在している筈が御座いませぬ 」
オロト
「 ──主殿、他の使い魔達がこの世界を調べております。
その中で判明した事は……時が巻き戻っている──という事で御座います 」
セロロ
「 うん?
巻き戻り?
ワタシは時を操る魔法は使えないけどね… 」
オロト
「 左様に御座います。
我等にも時を操る事は出来ませぬ 」
セロロ
「 …………ワタシはお前達と共に≪ ファブレッタ大陸 ≫の7割りを支配する人類を虐殺した筈だが? 」
オロト
「 確かに御座います 」
オシュト
「 主殿が遺跡を見付け、メグムと眠りに就いたのも確認しております 」
セロロ
「 …………確かにワタシは、この腕にメグムの亡骸を抱いて眠りに就いた…。
それが何故巻き戻りを? 」
オシュト
「 原因の解明は難しく… 」
セロロ
「 そう……此処はワタシの夢ではない。
此処は時が巻き戻った現実の世界…。
メグムが未だ生きている世界…。
…………メグムと共に生きられる世界…。
お前達にもこの先でメグムの身に起こる事態が分かるのかな? 」
オロト
「 しかと記憶に御座います 」
セロロ
「 ふぅん…そう…。
それなら未来を変えないとね。
ワタシのメグムが死ぬ事のないように。
出来るよね、未来の記憶を持つお前達になら──。
お前達が何をすべきなのか 」
オシュト
「 主殿の御心のままに── 」
オロト
「 我等に御命令くだされば、あらゆる障害を排除致します 」
セロロ
「 虐殺を許す。
ワタシのメグムに危害を加える不届きな輩を1人残らず排除しておいで。
メグムがワタシと無事に吹雪山へ到着出来るようにね 」
使い魔
「「「「「 御意──!! 」」」」」
何処から現れたのか、多くの靄が深々とセロロに向かって頭を垂れている。
返事をした靄状の使い魔達は、己が役目を果たす為に創造主であるセロロの前から姿を次々に消して行く。
セロロ
「 朝まで此処で待つとしようか 」
オシュト
「 仰せのままに 」
オロト
「 メグムの朝飯を準備致します 」
セロロ
「 うん。
そうしてくれるかい。
朝飯は御馳走にしよう。
こうしてまた、メグムと旅が出来るのだからね 」
オロト
「 そうですな! 」
夢の産物ではない生きているメグムに触れながら嬉しそうにしている主──セロロの様子を見て、オロトは心の底から安堵した。
オロト
「( どうやら、主殿が発症されたペットロス症候群は治まったようだな… )」
オロト
「 ──ミカト、狩りを頼む。
今朝の朝飯は豪華にするぞ 」
ミカト
「 おぉ〜〜マジかよ!
メグム様々だな!
よぉ〜〜し、いっちょ大物を仕留めて来っか。
待ってな!! 」
馬車の馭者席から降りて来たミカトは意気揚々に獲物を狩りに出掛けて行った。
ハクト
「 誰の仕業か分からんけど、粋な計らいをしてくれたもんだな。
またメグムと旅が出来るなんて嬉しいぜ 」
オシュト
「 あぁ…。
生きているメグムだ。
息をしている。
動いているメグムだ 」
オロト
「 未来は変えられると思うか? 」
ハクト
「 変えちまえばいいさ。
オレ達の1番──主殿が望まれるんだからな 」
オシュト
「 時が巻き戻った意図は解らん。
だが──、奇妙な事に稀に起こるらしい 」
オロト
「 今回は救われたな。
多くの犠牲者は出るだろうが、巻き戻り前の世界よりは少なく済むだろう 」
ハクト
「 違いねぇ! 」
オシュト
「 それにしても──、数千年振りの虐殺は愉しかった… 」
オロト
「 あぁ…心が躍ったな… 」
ハクト
「 人類の血って意外と不味いんだな…。
オレ、全然酔えなかったぜ 」
オロト
「 そうか?
自分は酔えたが 」
オシュト
「 オロトは子供しか狙わなかったからな 」
ハクト
「 えぇ゛〜〜〜、マジかよ…。
お前は金輪際、メグムに近付くな! 」
オロト
「 メグムには何もしない!
主殿と自分達の弟ではないか 」
ハクト
「 怪しいなぁ〜〜 」
オシュト
「 子供の血は美味いのか? 」
オロト
「 自分にはだがな 」
馬車の中でスヤスヤと寝息を立てて眠っている茜梶惠から離れた場所で使い魔達は、とびきり物騒な話で盛り上がる。
そんな3体の使い魔へ笑顔を向けながら、セロロは愛しい茜梶惠の髪を夜が明けるまで撫で続けるのだった。
◎ 本編は、セロロにとっても人類にとっても「 バッドエンド 」な展開になっていますが、【 おまけ 】ではセロロにとってはハッピーエンド,人類にはアンハッピーな展開になっています。
どっちに転んでも、大なり小なり人類はセロロの身勝手さの犠牲となるわけです。
◎ 「 GS美神 」でも、美神はヌルとの対決で時間を巻き戻っていました。
ベアリーチェでも時間を巻き戻したので、今回も使ってみました。
◎ おまけを読んで「 ガッカリ 」して頂けると投稿した甲斐があります。
どうぞ、存分に落胆してガッカリしてくださいませ。




