♥ 国境砦を目指して 1 / 奴隷解放計画 1
──*──*──*── 4ヵ月後
──*──*──*── 馬車の中
≪ ユンド ≫を出発してから、早4ヵ月が経った。
急ぐ旅でもないから未だ≪ ルーガンド王国 ≫に居る。
≪ ルーガンド王国 ≫と≪ リコシフキ王国 ≫を往来する為に使われている国境砦への到着は未だ未だ先になる。
≪ ユンド ≫を出発してからも色んな≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 村落 ≫≪ 町 ≫≪ 街 ≫に立ち寄っては滞在中に観光を楽しんだ。
≪ リコシフキ王国 ≫に近付くにつれて、人類よりも亜人類の≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 村落 ≫が多く見られた。
≪ リコシフキ王国 ≫も亜人類に対して素っ気ないみたいだけど、≪ ルーガンド王国 ≫よりは亜人類に対する接し方は幾分かはマシらしい。
反対に≪ コンパネド王国 ≫と≪ セネタムク王国 ≫は亜人に対しては≪ ルーガンド王国 ≫より接し方はキツいみたいで、≪ リコシフキ王国 ≫≪ コンパネド王国 ≫には亜人類の奴隷は居ないらしいんだけど、≪ セネタムク王国 ≫には亜人類の奴隷も多いみたい。
≪ ルーガンド王国 ≫みたいに舌を切り落とされたりは流石にしないみたいだけど、獣化が出来ないように封印紋が身体に刻まれているんだって!
≪ セネタムク王国 ≫では非力な人間の奴隷よりも亜人類の奴隷の方が立場が上みたいで、封印紋が刻まれていても人間の奴隷よりも使えるから待遇は良いらしい。
人間と対等に接するのは嫌だけど、奴隷としてなら待遇を良くしてあげてもいい──って感じかな?
…………何か…ムカッとするぅ。
いいじゃん、対等に接したって!
何で嫌がるの?
どう考えたって亜人類の方が人類よりも凄いんだから、仲良くしてもらったらいいじゃん!
何で上から目線で偉そうなのかなぁ?
弱っちいくせにぃ!!
封印紋なんてずっこい手を使って亜人類を弱体化させないと威張れないチキンのくせにぃ!!
何とか出来ないのかなぁ…。
茜梶 惠
「 セロロ…、封印紋って消したり出来ないの? 」
セロロ
「 出来るよ 」
茜梶 惠
「 えっ、出来ちゃうの?!
凄いね!
どうしたら封印紋を消せるの? 」
セロロ
「 封印紋の核を壊せばいいよ 」
茜梶 惠
「 封印紋の核ぅ?? 」
セロロ
「 神殿の地下には巨大な魔石があってね、その魔石を利用して封印紋も奴隷紋も発動させているんだよ。
封印紋と奴隷紋の魔石は同じ神殿の地下にはないね 」
茜梶 惠
「 魔石…。
セロロ、魔石って何なの?
石…だよね? 」
セロロ
「 魔力が結晶化して石化した物だね。
魔鉱石とは別物だよ 」
茜梶 惠
「 魔力って結晶化するものなの?
≪ 人間界 ≫に魔力なんて無いんじゃないの? 」
セロロ
「 そんな事はないよ。
魔族は魔力を秘めているからね。
怪物が地上に蔓延る前は人類が亜人類,魔族と戦争をしていてね、足の踏み場も無い程に地面が死体で埋め尽くされていたよ。
まるで死体が絨毯のようで── 」
茜梶 惠
「 そう──なんだぁ…。
あはは… 」
全然笑えないよぉ…。
死体の絨毯なんて想像もしたくないや…。
セロロ
「 御免ね…。
メグムは死体の話なんて聞きたくなかったね 」
茜梶 惠
「 セロロ……気にしないで!
御互いの環境が違い過ぎるんだもん、仕方無い事だよ…。
戦争中の≪ 国 ≫が実際にある世界だもん。
ぼくも慣れる努力をするよ。
だから、謝らないで! 」
セロロ
「 メグムは優しいね 」
茜梶 惠
「 そ、そんな事は…ない、よ…(////)
≪ 日本 ≫へ帰れない以上は、この世界に慣れなくちゃいけないのは事実だし… 」
セロロ
「 メグムは順応力が高いね 」
茜梶 惠
「 順応力…なのかなぁ…?
諦め…って言うか…妥協…って言うか……。
環境を素直に受け入れて自分が慣れてくしかない…って言うか…。
否定して…反発し続けていても疲れちゃうし…。
心も考え方も…あんまり前向きじゃないかもね 」
セロロ
「 ふぅん?
そうかな?
メグムは前進してると思うよ 」
茜梶 惠
「 そう?
有り難う、セロロ…(////)
セロロがぼくを家族にしてくれたお蔭だね!
1人で悩んでイジイジしなくていいんだもん(////)
相談の出来る家族が居てくれるから、ちゃんと前進も出来るんだよ! 」
セロロ
「 メグムの役に立てているなら嬉しいよ(////)」
茜梶 惠
「 えへへ(////)」
セロロ
「 話がズレてしまったね。
── 死した魔族の肉体は人類や亜人類のように腐敗したり朽ちたりしなくてね、魔力が結晶化する事で肉体が石化するんだよ。
石化した死体を壊すと、中から結晶化した魔力──魔石を取り出す事が出来る。
壊すと言っても最低100年は石化のまま寝かせる必要があるよ 」
茜梶 惠
「 そうなんだ…。
死んだら身体から放出されたりしないんだね 」
セロロ
「 魔力の放出を自由に出来るのは生きてる状態の時だけだよ 」
茜梶 惠
「 そうなんだ…。
石化した魔族の身体は人類に貴重な資源として使われているんだね 」
セロロ
「 そうなるね。
魔石も万能ではないし、長く使えば魔力は減少するし、劣化もするから新しい魔石に交換する作業が必要になる。
魔石を手に入れる為には魔族の死体が必要になるから、魔石の変わる資源…とやらが見付からなければ人類による魔族狩りが始まるだろうね 」
茜梶 惠
「 えっ…。
でもさ、魔族って人間より強いんだよね?
人間に襲われたからって簡単には倒されないんでしょ? 」
セロロ
「 それは少し違うかな。
≪ 魔界 ≫で生息している魔族は確かに人類よりも遥かに強大だから、人類が束になっても勝てやしないよ。
低級魔物すら満足に倒せないのだからね 」
茜梶 惠
「 じゃあ、どうしてなの? 」
セロロ
「 ≪ 魔界 ≫の空気には魔素が混ざっていて高濃度の魔素を吸って生きているから魔族は強いんだよ。
仮に魔素濃度の薄い≪ 人間界 ≫へ来ても、高濃度の魔素を放出して領域を棲み易い環境へ変化させる事が出来る。
高濃度の魔素を吸い込むと体内の臓物類が腐敗するから魔族の元へ辿り着く前に死んでしまうんだ 」




