♥ 初めての街 9 / 宿屋・パンダダ亭 3
──*──*──*── 1週間後
──*──*──*── 食堂
≪ ユンド ≫に滞在して、1地区 〜 5地区をセロロと一緒に回って観光した。
今日は≪ ユンド ≫から旅立つ日だ。
今は食堂で朝飯を食べていて、食事を終えたら宿屋を出て、駐車場に駐車している馬車の前でオロトさん,オシュトさん,ハクトさん,ミカトさんと合流する事になっている。
今は≪ ルーガンド王国 ≫に居るけど、≪ 亜人領国 ≫≪ 魔族領国 ≫≪ 中立領地 ≫へ辿り着く為には、ルーガンド国境を越えて≪ ルーガンド王国 ≫を出る必要があるんだ。
≪ ルーガンド王国 ≫を出たら、≪ リコシフキ王国 ≫≪ コンパネド王国 ≫≪ セネタムク王国 ≫を経由しないといけない。
≪ ルーガンド王国 ≫と≪ モンテルカ王国 ≫の境には《 妖獣の森 》があって、《 妖獣の森 》を抜けないと≪ ルーガンド王国 ≫と≪ モンテルカ王国 ≫は互いに往来が出来ないんだ。
《 妖獣の森 》を避けて往来するなら、左側に聳える険しいテンザガ山か右側に聳える険しいロッグフヤ山を山越えするしかないみたい。
魔法を使ってトンネルを掘って道を作る──って方法があると思うんだけど、怪物が出るから難しいみたい。
それに徒歩でしか山越えは出来なくて、最低でも3ヵ月は掛かるみたい。
天候も不安定だし、怪物の出現率と遭遇率も高いんだって。
そんな理由もあってか、《 妖獣の森 》の中にある亜人類の≪ 集落 ≫を経由しながら《 妖獣の森 》を抜ける方法しかないみたい。
《 妖獣の森 》を抜けるのも命懸けになっちゃうから、≪ ルーガンド王国 ≫と≪ モンテルカ王国 ≫は隣国同士なんだけども交流が一切ないんだ。
だから、≪ ルーガンド王国 ≫ ─→ ≪ リコシフキ王国 ≫ ─→ ≪ コンパネド王国 ≫ ─→ ≪ セネタムク王国 ≫って遠回りする事になるんだ。
茜梶 惠
「 セロロ──、態々《 妖獣の森 》を出て、ルーガンド国境を越えて≪ リコシフキ王国 ≫に入国するよりも、《 妖獣の森 》を抜けて≪ モンテルカ王国 ≫へ出ても良かったんじゃないの?
どうして≪ モンテルカ王国 ≫に入国しなかったの? 」
セロロ
「 確かにね。
≪ モンテルカ王国 ≫へ入国すれば≪ セネタムク王国 ≫へ入国して吹雪山へ着けるから、早くは到着するね 」
茜梶 惠
「 そうなんだ?
だったら尚更だよ。
どうして遠回りなんて…… 」
セロロ
「 ≪ モンテルカ王国 ≫は隣国の≪ チェンバユ王国 ≫と戦時中なんだよ。
≪ モンテルカ王国 ≫が戦争していても《 妖獣の森 》と険しい山脈があるから≪ ルーガンド王国 ≫に影響はない。
≪ モンテルカ王国 ≫と≪ チェンバユ王国 ≫の情報は≪ リコシフキ王国 ≫経由でしか≪ ルーガンド王国 ≫には入って来ない状況でね、ルーガンド国民には知らされていないんだよ 」
茜梶 惠
「 …………隣国の≪ チェンバユ王国 ≫と≪ モンテルカ王国 ≫が戦争中……。
そんな危険な状況の≪ モンテルカ王国 ≫には入国なんて出来ないね…。
だから、遠回りするんだね 」
セロロ
「 ≪ セネタムク王国 ≫はモンテルカ国民の亡命を阻止する為に≪ モンテルカ王国 ≫側の国境を封鎖しているから、≪ モンテルカ王国 ≫経由で向かっても≪ セネタムク王国 ≫への入国する事は出来ないからね 」
茜梶 惠
「 そうなの??
それは……大変な事態だね… 」
国境を封鎖するなんて穏やかじゃない状況なんだ…。
≪ モンテルカ王国 ≫が戦争中だなんて…。
今、この時も──、大勢のモンテルカ国民とチェンバユ国民が戦争被害を受けて辛い思いをして苦しんでいるんだ……。
茜梶 惠
「 セロロ、≪ モンテルカ王国 ≫に保護された異界人は、どうなっちゃうのかな?
戦争に参加させられちゃうのかな? 」
セロロ
「 さてね。
保護されたかは不明だよ。
《 妖獣の森 》で既に死に絶えているかも知れないし。
メグムには関係無い事だよ 」
茜梶 惠
「 ……そう…かも知れないけど……。
知ったからって…ぼくには何も出来ないけれど……それでも…ぼくは知りたいよ。
セロロなら分かるんじゃないの? 」
セロロ
「 幾らワタシでも、モンテルカ国王が異界人をどうするつもりでいるのか迄は流石に分からないよ。
勿論、捕らわれるのか保護されるのかも分からないし。
どの様な待遇を受けるかすら想像も付かないよ 」
茜梶 惠
「 そう……なんだ… 」
セロロ
「 メグム、そんな顔しないで。
メグムが心を痛める必要ないよ 」
茜梶 惠
「 セロロ… 」
セロロ
「 ≪ リコシフキ王国 ≫へ入国すれば、≪ モンテルカ王国 ≫の現状が分かるよ。
≪ セネタムク王国 ≫と違って≪ リコシフキ王国 ≫は国境を封鎖していないからね 」
茜梶 惠
「 そうなの?!
じゃあ、モンテルカ国民が≪ リコシフキ王国 ≫へ亡命して来てたりするの? 」
セロロ
「 国境付近まで戦火を逃れて来ている国民は居るだろうけど、モンテルカ国民はリコシフキ国境を越える事は出来ないよ。
分厚くて高くて丈夫な壁が国境を衛っているからね 」
茜梶 惠
「 じゃあ、≪ リコシフキ王国 ≫へは亡命する事は出来ないんだね 」
セロロ
「 亡命はさせないけど、国境の封鎖はしていないから、戦火を逃れて来た避難民への食料物資の支援はされているよ 」
茜梶 惠
「 そうなんだね。
…………≪ リコシフキ王国 ≫の国境付近の≪ 集落 ≫≪ 部落 ≫≪ 村落 ≫≪ 町 ≫≪ 街 ≫は大変だね 」
セロロ
「 そうだね。
馬車は国境付近から離れた場所を走るから、騒ぎに巻き込まれる心配はないよ 」
茜梶 惠
「 う、うん…… 」
セロロ
「 お茶を飲み終わったら出ようか 」
茜梶 惠
「 あ、うん。
そうだね… 」
温かいお茶を飲み終えたぼくとセロロは、客席を立って食堂を出るとフロントへ移動した。
──*──*──*── フロント
フロントでセロロが滞在中の宿泊代を全額支払ってくれた。
セロロってね、お金持ちなんだよ!
セロロが金貨を出したから、店主さんが吃驚して腰を抜かしちゃったぐらい。
≪ ファブレック大陸 ≫では、金貨1枚の価値が10万円ぐらいするみたいなんだ。
──*──*──*── 宿屋街
宿屋を出たセロロとぼくは、駐車場を目指して歩き出した。




