♥ 旅は道ずれ、世はカオス 1
──*──*──*── 1ヵ月後
≪ 集落 ≫を出発してから約1ヵ月後──、ぼくの乗っている馬車は《 妖獣の森 》を無事に抜けた。
今は≪ ルーガンド王国 ≫の中を馬車で移動中だ。
《 妖獣の森 》を抜けてから2日後に雨が降り出して、既に4日間も雨は降り続けている。
雨は一向に止む気配はなくて──、日に日に雨音が激しくなって、雨粒も大きくなっている気がする。
馭者のミカトさんとナビ役のハクトさんは馬車に取り付けられている屋根のお蔭で濡れていないみたい。
だけど…これ以上、雨が強くなったらズブ濡れになっちゃいそうだよ…。
茜梶 惠
「 ミカトさんもハクトさんも雨に濡れて風邪引かないかな… 」
セロロ
「 使い魔は風邪なんて引かないよ。
≪ 魔界 ≫に降る雨の方が強いし、酸性雨だからね 」
茜梶 惠
「 えっ…≪ 魔界 ≫に降る雨って酸性雨なの?!
酸性雨に当たって大丈夫なの? 」
セロロ
「 問題ないよ。
≪ 人間界 ≫の雨に当たっても何て事ないのは分かったかな? 」
茜梶 惠
「 う、うん… 」
うへぇ〜〜〜……酸性雨が降るなんて≪ 魔界 ≫っておっかないんだぁ……。
酸性雨に当たっても平気だなんて、セロロと使い魔って丈夫いんだぁ…。
時間が経つにつれて、雨音は強くなるし、外を覗いて見ると土砂降りになっている。
照る照る坊主を作ってみようかなぁ…。
照る照る坊主を作って吊るしたからって、雨が止むとは限らない。
照る照る坊主の効果なんて初めから期待なんかしてないし、唯の気休めで自己満足に過ぎない…。
それでも…無駄だって分かっていても…意味がないって分かっていても…何かをしたいって思っちゃうもんなんんだよね…。
茜梶 惠
「 セロロ…ぼく、照る照る坊主を作りたいんだ 」
セロロ
「 うん?
てるてるぼうず…かい? 」
茜梶 惠
「 うん!
『 少しでも早く雨が止んでくれますように 』って願いを込めて作るんだよ。
効果は期待出来ないけど… 」
セロロ
「 ふぅん?
どうやって作るの? 」
茜梶 惠
「 うん、あのね── 」
ぼくは照る照る坊主を知らないセロロと一緒に照る照る坊主を作る事にした。
セロロに作り方を教えながら、せっせっせっせっと丁寧に照る照る坊主を作る。
初めての照る照る坊主を一生懸命に作るセロロが何か可愛い〜〜〜(////)
異界人と一緒に照る照る坊主を作る魔族なんて、世界中を探しても此処にしか居ないんじゃないかな??
真っ白い照る照る坊主ばっかりじゃ見た目がつまらないし、顔を書くマジックペンも無いから柄付きの布を出してもらって照る照る坊主を作ってみた。
カラフルな照る照る坊主が出来て、これはこれで良いかも知れない。
後は吊るす為の紐を付けたら完成だ。
此処で気を付けないといけないのが、逆さまの降れ降れ坊主にならならいようにする事だ。
紐を付ける時に失敗するから注意しないといけない。
何とか降れ降れ坊主にはならずに照る照る坊主を完成させる事が出来た。
照る照る坊主を作れたからって、どうこうする事はない。
馬車には照る照る坊主を取り付ける場所が無いんだから、作り損ってヤツだ。
真剣に照る照る坊主を作るセロロを堪能する事が出来たから、ぼく的には有意義な時間だったけどね!
眼福って言うの?
役得って感じ??
セロロ
「 メグム、それが照る照る坊主? 」
茜梶 惠
「 うん。
ぼくの故郷では “ 照る坊 ” とか “ 晴れ坊 ” とも呼ばれてるよ。
窓の外から吊るすんだよ 」
セロロ
「 雨乞い人形みたいだね 」
茜梶 惠
「 そうかも!
本当はね、真っ白い布で作って顔を書いたシンプルな物なんだよ 」
セロロ
「 ふぅん? 」
茜梶 惠
「 ぼくはカラフルで見た目も楽しめる此方の方が好きだよ 」
セロロ
「 余り物の生地で作れるのが良いね 」
茜梶 惠
「 セロロは照る坊を初めて作るのに上手だね。
ぼくなんて初めて作った時は失敗ばっかりだっよ(////) 」
セロロ
「 そうなの?
メグムと何かを作るのは初めてだね。
楽しかったよ。
他に作れる物はある? 」
茜梶 惠
「 他に?
う〜ん……折り紙…とか、塗り絵…とか……トランプ…カルタ…ジグソーパズル…とか……かなぁ?
材料と道具さえあれば作れそうだよ 」
セロロ
「 メグムの世界に有った物ばかりだね? 」
茜梶 惠
「 うん。
あぁでも…トランプだったら売ってるかも?
カジノがあるならカードゲームで使われてるかも知れないし… 」
セロロ
「 かじの…かい? 」
茜梶 惠
「 えぇと……現金をカジノで使えるチップに換金して、色んなゲームで遊びながらチップを増やすんだよ。
カジノを出る時にカジノチップを現金に換金してもらえるんだ 」
セロロ
「 ふぅん?
メグムの世界にはそんな所があるんだね 」
茜梶 惠
「 うん。
お金持ちしか利用しない施設だけどね。
この世界だったら、お金持ちな王族とか貴族とかが利用してそうな気がするよ 」
セロロ
「 かじの…ねぇ 」
茜梶 惠
「 良心的なカジノもあるけど、ディーラーがイカサマをして客からカジノチップをぼったくる悪徳カジノなんてのもあったりするよ。
地下では裏ルートで入手した盗品やら宝石やら骨董品やらを競売に掛ける闇オークションが開かれたり、人身売買とか賭け決闘なんかもやっていたりしていて中々のカオスっぷりだよ 」
セロロ
「 私腹を肥やしたい悪者が集まる場所なのかな? 」
茜梶 惠
「 そうかも。
スリルを感じる非日常的な体験したいのかも知れないね。
1番お金が集まる場所なのは確かだよ 」
セロロ
「 ふぅん?
面白そうだね。
使い魔に探させてみようかな? 」
茜梶 惠
「 あると良いね。
…………この雨って何時まで降るつもりかな?
もう4日も降ってるし…。
川とか氾濫してないかなぁ… 」
セロロ
「 自然現象だからね。
此処は元々雨の多い地域だよ 」
茜梶 惠
「 嫌な地域だね…。
水害対策はされてるのかな? 」
無駄に長く雨天が続くと憂鬱な気分になって滅入っちゃうよね…。
ぼくは外を見ながら何度目かの溜め息を吐いた。




