♥ 人獣族との暮らしの中で 8
ぼくは温泉の中でハクトさんとミカトさんと話していた内容をビクビクしながらセロロへ伝えた。
茜梶 惠
「 ──と言うわけで……ぼくの外見は実年齢よりも幼いけど本当に12歳で──。
来年の10月には13歳になるわけで──。
それなのにハクトさんとミカトさんはぼくに4歳も鯖読みして年齢詐称しようって……言われて…。
だけど…ぼくは嘘を吐くのが苦手で…… 」
ぼくはセロロから目線を逸らせながら、しどろもどろに話した。
ぼくの話を聞きながら、セロロが怒った顔でぼくを見ているかも知れないと思ったら、怖くて身体がブルブルと震えてしまうんだ…。
セロロ
「 メグム── 」
茜梶 惠
「 ひぃっ!!
御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさい、御免なさいぃぃぃ!!
でもぼく、8歳じゃないんですぅぅぅぅ!! 」
ぼくは怖くなって短い悲鳴を上げたら両手で頭を抱えて叫んだ!!
いや、謝ったんだ。
セロロ
「 メグム、謝る事はないからね。
顔を上げて。
涙は拭こう 」
茜梶 惠
「 セロロ… 」
セロロは微笑んでいるけれど、少しだけ困ったような表情をしている。
ぼくの目に綺麗な指を伸ばしたセロロは、スッ──と涙を拭ってくれる。
セロロ
「 メグム、泣かなくていい。
ワタシはハクトもミカトも怒らないよ 」
茜梶 惠
「 えっ…… 」
セロロ
「 オシュトとオロトに怒られているのなら、ワタシが怒る必要はないからね。
抑ワタシは使い魔を怒らないし 」
茜梶 惠
「 そ…そうなの?? 」
セロロ
「 安心したかな? 」
茜梶 惠
「 う、うん…(////)」
セロロ
「 メグムは優しいね 」
茜梶 惠
「 そ、そんな事ないよ…(////)」
泣きかけていたぼくが鼻をグズグズ…させていると、セロロがぼくに両手を伸ばして来て抱きしめてくれた。
茜梶 惠
「 セロロ…(////)」
セロロ
「 メグムの歳は気にしないよ。
仮に今のメグムが成人していたとしても、ワタシの弟である事は変わらない。
永い永い年月を生きているワタシにとって年齢は些細な事だよ 」
茜梶 惠
「 セロロ…。
……セロロは…そんなに長い年月を生きているの?? 」
セロロ
「 未だ78300年と少し…だったかな?
400年は経ってない筈だよ 」
茜梶 惠
「 な゛…な…ななま……7まん゛……そんなに長くセロロは生きてるの?! 」
セロロ
「 そうだね。
殆んどは≪ 魔界 ≫で過ごしていたよ。
ワタシは元々魔界の住人だからね 」
茜梶 惠
「 そ…そうなんだ…。
ま…かい……あるんだ…。
セロロは何で≪ 魔界 ≫から人間の世界に来たの? 」
セロロ
「 暇潰し…かな 」
茜梶 惠
「 暇…潰し??
ぇと……暇潰しで来れちゃうものなの? 」
セロロ
「 普通の魔族では無理だね。
ワタシは少し特殊な魔族だからね 」
茜梶 惠
「 特殊??
セロロは特殊なの? 」
セロロ
「 うん、ほんの少しだけね 」
どんな風に特殊なのかは教えてくれないみたい。
教えたくないのかな??
茜梶 惠
「 セロロは何年くらい≪ 魔界 ≫で暮らしてたの? 」
セロロ
「 産まれてから6万年かな。
≪ 魔界 ≫での暮らしが退屈になって飽きてしまってね。
≪ 人間界 ≫へ来てから未だ18300年ぐらいしか経ってないかな? 」
茜梶 惠
「 ひぇっ……18300年も≪ 人間界 ≫で暮らしてるの?!
凄い…ね 」
セロロ
「 あっという間だよ。
人間は短命種だからね。
眺めているだけでも面白くてね、飽きないよ 」
茜梶 惠
「 ≪ 魔界 ≫はつまらないの? 」
セロロ
「 魔族は長命種で長生きだからね。
10万年以上生きる魔族なんてゴロゴロ居るよ。
魔族はね、血の気が多くて好戦的で争いが大好きな種族だから、毎日あちこちで争いが起きていたね。
魔王の数だけ≪ 魔界 ≫があるから、色んな≪ 魔界 ≫を渡り歩いたものだよ 」
茜梶 惠
「 色んな≪ 魔界 ≫があるの?!
1つじゃないの? 」
セロロ
「 魔王になるとね、魔素と魔力量をコントロールして自分の≪ 魔界 ≫を作る事が出来るんだよ。
魔力が枯渇すると≪ 魔界 ≫は消滅するから、魔王によって持てる≪ 魔界 ≫の数も違うんだよ 」
茜梶 惠
「 そうなの?!
魔王って凄いんだね! 」
セロロ
「 全ての魔王が≪ 魔界 ≫を持つわけではないよ。
自分で≪ 魔界 ≫を作らず、他人の≪ 魔界 ≫を手に入れようとする魔王も居るからね 」
茜梶 惠
「 えっ……持ち主の魔王から≪ 魔界 ≫を奪うの?
魔王って…そんな事もするの? 」
セロロ
「 ≪ 魔界 ≫では強さが全てだからね。
弱者は奪われても文句は言えない理不尽極まりない過酷な世界だよ。
≪ 人間界 ≫よりも数億万倍もね 」
茜梶 惠
「 そんなに…?? 」
≪ 魔界 ≫っ人間には危険な世界なんだろうなぁ……。
茜梶 惠
「 セロロはどんな方法で≪ 人間界 ≫に来たの?
他の魔族も≪ 魔界 ≫から≪ 人間界 ≫に来れちゃうの? 」
セロロ
「 低級魔族に分類される知能の低い魔物は高濃度の魔素を通って≪ 人間界 ≫へ移動する事が出来るけれど、下級魔族に分類される使い魔以上は魔素を通る事が出来ないから、一般的な魔族は≪ 人間界 ≫へは来れないよ。
≪ 魔界 ≫の住人は≪ 魔界 ≫に1つしかない時空ゲートを通らないと別の世界へは行けないようになっているし 」
茜梶 惠
「 時空ゲート?? 」
セロロ
「 時空の管理人が管理している時空ゲートだよ。
時空ゲートを使うには対価を支払う必要があってね、相応の対価を支払わないと時空ゲートを使わせてもらえない 」
茜梶 惠
「 じゃあ、セロロは時空ゲートを使う為に時空の管理人に対価を支払ったの? 」
セロロ
「 そうだよ 」
茜梶 惠
「 何を支払ったの?
通行料のお金? 」
セロロ
「 当時のワタシは、お金を持たなかったから、通行料には魂を使ったよ 」
茜梶 惠
「 魂?? 」
セロロ
「 ワタシ程の魔族が時空ゲートを通る為には、弱い魂を大量に用意しても足りないから、超魔王神クラスを100体程血祭りに上げて回収した魂を対価にしたよ。
お蔭で無事に時空ゲートを通って≪ 人間界 ≫へ来る事が出来たね 」
茜梶 惠
「 えっ……超魔王神…??
それって…強いの?? 」
セロロ
「 ワタシからすれば、ザコ──かな? 」




