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カ・ル・マ! ~水の中のグラジオラス~  作者: 后 陸
水の中のグラジオラス 三の章
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策束静巡 伍 その5

 波働は、言わばコーディネーター。

 誰よりも数多くの術師を見てきているし、見て来た分の場数も踏んでいる。


 その意見は真摯(しんし)に受け取るのが正解、だと思った。

 そんな准の思いを茶化す様に、波川が横からふざけた態度でデカい声を出す。


 「波働()()()、それホンマ~~?」


 さすがの波働も、ちょっとハラ立った。

 言い返してやりたくなった。

 いや、言い返してやろうと思った。


 「ホントですよ。まず小早川楓。彼女は霊体と霊現象を()()()()()()()珍しい能力者です」


 3人が一斉(いっせい)に、波働の顔を見た。

 ホンマか? と、、、。

 波働、『ホンマや』とは言わない。

 笑顔で返す。


 加茂家の道具のお陰で、、、って事も、決して言わない。

 代わりに笑顔で、返しまくる。


 ――驚いてますね。その顔、いいですね~


 術師なら“霊体と霊現象を持つ”という事が、どれだけとんでもない事なのか理解して驚く。

 本当に出来るなら、それは能力者として“究極”に近い。


 波働が言った能力の意味を正しく理解し、実際に使い(こな)すことが出来たのなら、霊全体に対して何でも出来てしまう事になる。


 それは“霊”なる不確かな存在に()()()()()()()()()()()()()とし、この世の物理法則を与える事になるからだ。


 霊体や霊現象を扱う者にとっては、正に究極。


 波付の3人が言葉を失うのも無理はない。

 誰かが何かを言う前に、波働は言葉で(たた)みかける。


 「次に九条ルネ。能力者が掌握(しょうあく)する“(フィールド)”に対し、唯一、拳銃を武器として使える使い手。結界内でも扱えることから、特殊環境下でも拳銃を使えると思います。これは我々にとって非常に力強い存在になります」

 「“責眼のルネ”、か、、、?」


 ――さすが有名人。SNSで私設ファンクラブあるし、、、


 そう思いながら、波働は駿がつぶやいたルネの通り名を詳細に補足する。


 「そうです。が、彼女の通り名、正確には『隻眼(せきがん)赤眼(せきがん)責眼(せきがん)のルネ』です」

 「早口言葉かっ!」


 つぶやいた駿よりも素早くツッコむ波川。

 ツッコまれても、波働は上機嫌。

 みんな驚いてる。

 波働は人の驚く顔が好き。


 だからルネの能力も、ホントは加茂家の工場長から貰った“王仁王(わにおう)穏眼(ヲンがん)”のおかげだとは言わない。

 もっと驚け、と思う。


 「で、、、」


 波働が悪戯(いたずら)っぽく、3人を見た。


 「最後の1人なんですが、下手すると危ないので先に言っておきますね、、、」


 そこで、言葉を切る波働。


 「危ないって、どうアブナイねん、、、?」


 波川が聞いたが、伊波兄弟も同じようにどうアブナイのか聞きたい。

 返事が無い。

 顔を見合わせる、伊波兄弟。

 波川は、イラつく。


 「(なん)やねん波働の(ニィ)ちゃん、勿体(もったい)ぶらんと言うたってぇや」


 3人が、波働を見てる。

 無表情なのに笑ってるように見える。

 これが、“波働タメ”。

 満足したか、やっと口を開いた。


 「女子高生の術師で、、、」

 「はぁ? 女子高ぅ生ぇ?」


 またまた波川が波働の言葉に(かぶ)せて、大袈裟に反応。

 バカにしたような口振りでコントみたいにソファに()()った時、部屋の扉が開いた。


 そこに立つのは、背の高い中年のオッサン。

 デカい。

 180センチは軽く超えている。

 濃いベージュのラフなスラックスを穿()き、上着はかなり着熟(きこな)された革ジャン。

 長い時間を掛けて付いたシワと(こま)かな傷が、無骨(ぶこつ)な男の雰囲気に似合っていた。

 どうやらこの男の一張羅(いっちょうら)、なかなか()()になっている。


 入って来た長身革ジャンの男は、ローテーブルを挟んで座る4人の男を見た。

 奥の3人掛けソファに2人。

 手前のソファに1人づつ座ってる。


 手前側に座る2人は、振り返る恰好(かっこう)で見返していた。

 その片方が、事前に写真で確認していた顔だと男が気付く。


 ――このマジメそうなんが、6課の波働か、、、


 自前の術師集団を囲いながら、他の術師とも(つな)がっている。

 この業界で、いちばん“顔が()く”男。

 長身革ジャンの男は、向かって右手に座る波働に視線を向けて声を掛けた。


 「波働さんですね」


 問われて、立ち上がる波働。

 身体をしっかり、入って来た男の方へ向けて礼儀正しく挨拶した。


 「そうです。私が情報通信局情報技術解析対策課及び警備局警備運用部警備公安第6課特別処置班合同特別特殊電波対応係、通称デンタイの波働です」

 「、、、ちょっと何言ってるか解らない」


 ボケじゃないが思わずそう言ってしまったのは、自称凡庸(じしょうぼんよう)の鈴木満。

 そんな鈴木に、笑顔を向ける波働。


 「大丈夫です。良く言われますので」


 で、鈴木をジッと見る波働。

 一瞬、何や? と思ったが、自分の話す番かとスグに気付く。


 「あぁ、オレね。ども、鈴木です。オレは上水流家の、、、」


 鈴木がそこまで言った時、ソファに座る3人の男の視線がイッキに冷たくなった。

 鋭くなったというべきか、、、。


 先程、上水流家の代りに呪包童子が来ると聞いた。

 ()()()鈴木だと思い込んだ。


 空気が変わる。

 敵対心とまではいかないが、呪包童子がどれ程のモノなのか値踏みが始まった。

 その意思は、好意的では無い。

 どちらかと言うと、敵意寄りの想念。


 その証拠に、術師の纏うオーラが、攻撃色を増していく。

 コイツは、本当に強いのか?

 そんな念を3つも向けられたら、さすがのみっちゃんでもみちみち気付く。


 「波働さん、これはどう(とら)えたら良えヤツかな?」


 魏璃々(ギリリ)、、、。


 対抗するオーラが展開された。

 当然の反応。

 速い。

 高い。

 濃い。

 流石(さすが)、童子、、、。



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